ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

オムニチャネル時代のデータマーケティング。顧客IDをキーにして、どんなマーケティングを展開するのか。前編 【no.0029】

■終わりとは実にあっけないものである‥!

 歴史が終わった。どんなに偉大な記録でも、終わってしまう。と、いきなりバレンティンの話を持ち出すのもヘンだが、ついに王貞治さんの記録がなくなってしまった。ローズやカブレラの記録でもあるんだけどね。2013年、このタイミングではすでに時代遅れの記録だったのかもしれないな。5月5日に行われた長嶋茂雄名誉監督の国民栄誉賞授与式も、時代遅れ勘があった。時代遅れと表現するとこれもヘンか。時期遅れ、という表現が適切だろうか。言っておくが、巨人が嫌いなわけではない。

 バレンティンが王さんの記録を抜いた日、嫁の実家にいた。嫁の父、私にとっての義父は大の巨人ファンで、もちろん、長嶋さんと王さんの大ファン。未だに部屋には長嶋さんと王さんの写真が飾ってある。そんな義父が「バレンティンが56号ホームランを打った」と聞いた瞬間の寂しそうな顔。「さっさと(メジャーに)」帰っちまえばいいのに・・」とつぶやく姿をみて、あーこの記録はそういうもんだったんだなぁ、と。ちなみに私の父も巨人ファンだ。きっと同じことを思ったのだろう。終わりとは実にあっけないものである。そしてこれは何の終わりなのか。

 東京オリンピックが決まった。けっこう前に。義父や父の世代、つまり団塊の世代にとっては2回目の東京オリンピックになる。昔、東京でオリンピックやったんだよ、から、2020年の東京オリンピックはどうなるんだろうね、へ。長嶋さんの国民栄誉賞授与というある種の「卒業」と王さんの偉大な記録の終わり。スポーツの話から全体の話をするのはヘンかもしれないけども、本当のほんとうのほんとーの時代の移り変わりってのを感じたんだよな。この一週間で。昭和という時代からの本当の脱却を。まあ、この手の文章はたくさんの方が書いているので、単に私がカッコつけたかっただけなのだけれども。

■いつでもどこでも、ライフスタイルに合わせて、それがオムニチャネル‥!

 そんな先週、これまた団塊の世代の方とお茶をした。その方は、元西友の方。実店舗、紙、PC、スマートフォン、オムニチャネル時代の小売り、特にスーパーはどうなるのか、意見交換・情報交換をさせていただいた。小売りの新しい時代はまだ始まったばかり、理屈は徐々に浸透してきているが、まだまだ本格的な実践例と成功例が少ないテーマだと思う。今回は数回に分けて「オムニチャネル時代のデータマーケティング~スーパーの場合~」について書いてみたいと思います。

 まずオムニチャネルは何か、それは販売チャネルの統合である。休日は青山の実店舗に行くもよし、深夜は家のパソコンでネットショップを見るのもよし、カタログを見るのもよし、通勤途中にはスマホで情報を得るのもよし。お客さん自身が自らのライフスタイルに合わせて、いつでもどこでも情報を得ることができる、これがオムニチャネルの時代だ。そこにある重要なキーワードは、データマーケティングだろう。統一した顧客IDを持ってもらうことで、「どんな方が、いつ、どのタイミングで、何を利用したか」がより見えるようになる。もちろん、その行く先にあるのは「1to1」のマーケティングに他ならない。お客さんの趣味や嗜好性、好み、生活環境の変化、ひと言でまとめるとライフスタイルに合わせて、もっとも最適なタイミングで最適なモノが提案される。小売り側からすれば、自社の商品をもっとも最適な人に最適なタイミングで提案することができる。データマーケティングの本質を考えれば、もっとも最適な人に最適なタイミングで提案できるものを「マーチャンダイジング」する、ということも可能なる。理屈だけだと、話はすぐに終わってしまうので、ではどんなデータをどう活用して、どんな手を打っていくかを考えてみる。今回は、折角なのでスーパーのオムニチャネル時代のデータマーケティング、ということで考えてみた。

■顧客データと購入データ、これがデータマーケティングの基本‥!

 まずは、必要なデータを考えてみる。

・顧客データ:お客さんの自身の情報を蓄積するデータベース。顧客IDをキーにして、氏名・住所・連絡先・メールアドレスなど。
・購入データ:お客さんが購入したモノの情報を蓄積するデータベース。購入IDをキーにして、顧客ID・購入商品・購入個数など。

 基本的な分析やアプローチについては、この2つのデータベースを起点にすればできるはず。どちらにしても膨大なデータになると思うので、状況によって、データベースを分けていくとして、こんなデータを見ていくことになる。

・来店データ:実店舗、紙、PC、スマホ(タブレット)のどのチャネルにいつ来店したか、滞在時間、商品の閲覧数などを蓄積。

 オムニチャネルなのだから、ここは欲しい。つまり、「来店したけど、利用しなかった人」のデータが欲しいのだ。結果として、実店舗・紙・パソコン・スマホのどれかで利用をしてもらえればOKなわけであるから、ここのデータを持っておくことが重要である。というか、オムニチャネルならでは、ということになる。PCやスマホでは「来店したけど、利用しなかった人」のデータは取れるが、実店舗や紙ではどうするの?というところだが、ここは明日。

続きはこちら。
「オムニチャネル時代のデータマーケティング~スーパーの場合~」後編

 

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。