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「人に知ってもらう仕事」と「人に楽しんでもらう仕事」に同じくらいの時間を費やす。後半【no.0550】

 「人に知ってもらう仕事」と「人に楽しんでもらう仕事」に同じくらいの時間を費やす。後半です。(前回はこちら

 そうなのです。「人に知ってもらう仕事」は他人を動かす仕事ですから、そのほとんどが「徒労」に終わります。「徒労」に終わることを前提で、「5:5」の時間をかけなければいけません。

*どうしても人は「気持ちの良い」仕事に時間を傾ける

 「人に楽しんでもらう仕事」は自分を動かす仕事です。自分が動けば、アイデアは必ず形になり、サービスとして表に出すことができます。こちらの仕事は「気持ちの良い」仕事です。どうしても人は「気持ちの良い」仕事に時間を傾けていきます。けっして、「人に知ってもらう仕事」と「人に楽しんでもらう仕事」の比率を「2:8」や「1:9」にしないことです。「0:10」などもっての他です。

 ネットショップ運営の場合、「人に知ってもらう仕事」として、インターネット広告や検索対策(ブログコンテンツを増やすことも含め)、メディアアプローチ、それにリアルを活用したチラシやポスティング、実店舗や催事への出店などが挙げられるでしょう。当然、会社の状況によって、販促にかけられる予算は異なります。「5:5」で仕事を行え、というのは「予算を増やせ」ということではありません。

 自社の限られたリソースから、「5:5」の状態をいかにつくるか、という話です。

*「人に知ってもらう仕事」の時間を短くしないこと

 「販促予算は一切ない」という会社でも、商品ページごと1ページ1ページに合った検索キーワードを入力していくことはできるでしょう。ここを一括アップロードなどで対応してしまってはいないでしょうか。また、自社を知らないお客様にリーチするため、毎日ブログコンテンツを増やす。こういったこともできるのではないでしょうか。少額の販促予算があるならば、広告出稿のセグメントを細分化して、お客様ごとのアプローチを1つ1つ別管理で作っていくこともできます。1%でも成果を上げるため、かけられる手間はいくらでもあるわけです。

 大切なのは、「それは効率的じゃないから」のひと言で、「人に知ってもらう仕事」の時間を短くしないことです。「効率性」を考えると、「人に知ってもらう仕事」は一括で管理できる選択肢ばかりが残り、どんどん縮小していきます。はっきり書いてしまいます。他人に動いてもらうということは、詰まるところ「効率的」にできることではないのです。他人を「自分」に書き換えてみれば、その意味がよくわかるでしょう。

 「人に知ってもらう仕事」を縮小させない、「5:5」の状態を保ち「2:8」にしないための対策として、簡単にできることがあります。いま、ここで、あなたのスケジュール帳に「人に知ってもらう仕事」と「人に楽しんでもらう仕事」の2つをバッサリ「5:5」で書きこむのです。「人に知ってもらう仕事」として何をするかは、後から決めて構いません。とにかく、「先に時間を取ってしまう」ことがポイントです。

*残りの時間は徹底的に「非効率」な仕事をやる

 1日に8時間働くなら、4時間は必ず「人に知ってもらう仕事」に充てます。現状のリソースの中でできることを書きだしましょう。効率的にできることから進めていっても、3時間以上、時間が余るはずです。残りの時間は徹底的に「非効率」な仕事をやってください。駅前でチラシを配ってまで、「人に知ってもらう仕事」の4時間を埋めてください。とにかく、埋めるのです。早く終わらせてはいけません。

 この「人に知ってもらう仕事」と「人に楽しんでもらう仕事」の「5:5」を徹底することができれば、あなたのネットショップは間違いなく成功します。ネットショップでなくても、インターネットを活用するビジネスなら、間違いなく成功します。そして現実的にこの「5:5」を実現するためには、現在の仕事のマニュアル化や引継ぎ、スケジュール管理をよりしっかりしなくてはいけません。商品・サービスの競争力も上げなければいけません。「5:5」の時間を取るためには、自ずとぶち当たる壁だと思います。

 他人を動かす仕事は「先の見えない」仕事です。「本当に成果は出るのか、出るとしたら果たしてそれはいつなのか」それを不安に思いながら、毎日繰り返していく仕事です。しかし、他人が「いつ動いてくれるか」なんて、自分にはわからないのです。とにかく、「5:5」を守り、たとえ非効率でも続けていくだけです。健闘を祈ります。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 3.Eコマースの収益アップ

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。