ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「違い」をつくるため、徹底的に情報発信して自分自身がメディアになる【no.0838】

 少し前のことですが、ネットショップの運営について質問をいただきました。

 食器のセレクトショップを運営している方です。様々なアーティストがつくっている食器を10年ほど前から販売してきました。当時はインターネットで取り扱われている数も少なく、商品を売りたいアーティストにも喜ばれ、順調に売上が伸びていったということです。

 しかし、競合が現れます。自社のセレクトショップで取り扱っているアーティストにも声がかかりました。もちろん、こちら側に「他のネットショップに商品を出さないように」とアーティストを縛る権利はありません。アーティストは複数のネットショップに商品を出すことになりました。

 いわばアーティストのブランドの商品であり、在庫が潤沢なわけではありません。レアものもあります。そして、人気のアーティストの商品ほど在庫が確保できなくなりました。「どこに商品を卸すか?」はアーティスト側に強い力があります。

 はたしてこれからネットショップをどの方向に持っていったらいいだろうか?という相談です。

 方向性のひとつ。商材を変える、です。以前は、「このネットショップにしかない商品」でしたが、いまの商売は「他でも扱っている商品」に過ぎません。またアーティストの力が強く、自社にはアーティストを縛る権利もありません。これまで10年間、ネットショップを育ててきたこだわりはありますが「損切り」だと思って、市場環境が変わったと理解し、いまの商材をやめるという選択肢があります。

 方向性のもうひとつ。自社のオリジナル商品をつくる、です。アーティストのブランドで商品が売れている、またアーティストの力が強い以上、独自商品の開発は難しいかもしれません。まだ知名度の低い、しかし才能のあるアーティストの食器をEコマースの中心に持ってくることで、専門店としての新しい独自性を出します。いかに新しいアーティストを探してくるか、というところがポイントです。

 方向性のさらにもうひとつ。この手のアーティストの食器を集めたセレクトショップとして、オンリーワンの存在になるということです。これまでのネットショップのお客様がアーティストに付いて商品を購入していた状態から、このショップの店長(相談いただいた方)のセレクトで商品を購入していく方向にEコマースサイトの見せ方を変えていきます。

 ここでのポイントは店長自身のブランディングということになります。これまで育ててきたネットショップを「損切り」するのは惜しい、しかし独自性のある商品を開発できない、もしくは独自性の出しづらい(わかりづらい)商品であるという場合、提案力を強化することでお客様に魅力を知ってもらうということになります。

 もっともシンプルなのは、店長自身が自分の顔と名前を出して、継続的に発信をおこなうことです。どんな提案をおこなったとしても、競合と似通ってしまう可能性はあります。自分では「違い」を感じていたとしても、お客様が明確に「違い」を理解できなければ、一緒であることと同義です。詰まるところ、「違い」を生み出せるのは「人」ということになります。人は10人10色です。それだけで「違い」が生まれます。

 WEBサイトに顔と名前を出して、情報を発信する。なぜ自分がこのアーティストがいいと思ったのか、なぜ自分がこの食器がいいと思ったのか、自分はどんな使い方・楽しみ方が生活を豊かにすると思っているのか。自分の言葉で発信をしていきます。一般論ではなくて大丈夫です。むしろ、明確に「違い」を出すためには「私見」でなければいけません。

 おわり。

 

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。