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LTVを算出するときのポイントは「顧客の流入経路」別にデータを出すこと。【no.0410】

 「LTV=顧客生涯価値」について学ぼう!(前回はこちら

 前回のブログでは、「LTV=顧客生涯価値」とは何か、なぜLTVを算出することが重要なのか、という話をしました。今回は、LTVを算出するときのポイントについて考えていきます。

 まず、一般的なLTVの算出の仕方です。

 前回のブログでも触れたとおり、「顧客生涯価値」と名前がついているとはいえ、ネットショップにとって「どのタイミングで顧客が終わったか」ということはわかりません。10年前に初回の購入をしてくれたお客様で長年利用していなかった方が、突然またネットショップで買ってくれることもあります。今日、購入してくれたお客様は、1度しか購入していないお客様なので、LTV算出の対象者になるのかも微妙なところです。

 ここは、期間を区切って、LTVを算出するのが良さそうです。

 例えば、2010年の10月の新規購入者1,000名に対して、総購入売上を算出します。その総購入売上を1,000名で割った平均値が「LTV=顧客生涯価値」である、というわけです。もちろん、そのLTVに対して粗利率をかけた数字(もしくは総購入粗利の平均値)が、広告の費用対効果を計算するときのひとつの指標となります。

 ひとまず基本としてはこの算出方法をベースにして、2011年10月の新規購入者、2012年10月の新規購入者というように、その推移を比較していけば良いでしょう。当然ですが、年月が近くなるごとにLTVの数字は下がっていくので注意です。細かい「LTV=顧客生涯価値」を求めず、あくまでひとつの「成果指標」として見るならば、「1年以内の総購入売上」など、お尻の期間を設定する方法もあります。

 ・・と、ベースの算出方法を説明してきましたが、できればもう一歩「LTV=顧客生涯価値」の把握として踏み込みたいところです。その切り口は、「顧客の流入経路」になります。

 LTVは「どんなお客様か」によって、数字が異なります。インターネット広告を経由してネットショップを利用したお客様と、自然検索でネットショップを利用したお客様ではLTVが異なるでしょう。また、最初に激安の広告玉商品を購入したお客様と、正規価格の通常商品を購入したお客様でもLTVは異なります。どちらが良い、どちらが悪いということではありません。全てのデータをひとまとめにしてLTVを算出すると、本質を見誤ってしまうということです

 そこでまず算出したいのが、自社のネットショップが「理想としている」お客様のLTVです。ネットショップをすでに運営している事業者ならば、自社のデータベースから、「理想としている」お客様のデータを抽出できると思います。どんな検索キーワードからネットショップを見つけてくれて、最初にどんなサービスを利用してくれて、このカテゴリの商品を買ってくれて、それから3回以上リピートをしてくれているお客様、というような「理想の」お客様データを抽出し、そのお客様の「LTV=顧客生涯価値」を算出します。これが、自社のネットショップが本当に欲しいお客様のLTVということになります。

 惑わされてはいけないのが、広告を経由してネットショップに流入したお客様のLTVです。広告経由、広告玉商品経費のお客様のLTVは、「理想のお客様」のLTVに比べて低くなる傾向があります。広告経由でのお客様のLTVは別に算出しておき、次の広告選定・効果検証の指標にしていってください。リスティング広告(PPC広告)経由、バナー広告経由、アフィリエイト広告経由など、広告の種類によってLTVを算出できれば尚良いですね

 自社のネットショップのサービスの評価軸として、「顧客の流入経路」別の「LTV=顧客生涯価値」を押さえておくようにしてください。「指標化」して、継続的にLTVを見続けていくことで、自社ネットショップの運用改善の成果を測ることもできるようになるでしょう。

 おわり。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。