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評価制度を変えないとネットは「失敗」します。【no.1054】

 評価制度を変えないとネットは「失敗」します。

 インターネットの活用をするとき、まず経営者のみなさんに取り組んでもらいたいこと。それは、会社の評価制度を変えることです。ネットに取り組むスタッフ、取り組みをサポートするスタッフの評価を誤ると、会社にネット戦略の文化が根付きません。

 たとえば、新しくオンラインショップを立ち上げる会社があるとします。

*オンラインショップ運用は会社全体の戦略

 これまで実店舗のビジネスを展開してきた会社さんだとします。実店舗で培ったブランド、店舗の認知、また商品企画力や商品開拓力、そして在庫。リソースを活用して、インターネットに新しい販路をつくっていこうという展開です。オンラインショップは実店舗に比べて初期投資が安く済みます。商圏もありません。実店舗を出店できない地域のお客様のニーズにもこたえることができます。

 ここまでは販売戦略として間違いではありません。さらに、積み重ねたブランドを考えれば、比較的早く成果が出る条件がそろっています。しかし、こういった環境に恵まれた会社でも落とし穴があります。

 実店舗でもネットでも、実際にお店を動かし売上につなげるのはスタッフの皆さんです。スタッフの皆さんが動いてくれなければ、売上という果実を得ることはできません。たとえ良い条件がそろっていてもです。

*自分たちの評価が仕事に結びつく

 実店舗を展開している会社がオンラインショップに失敗するひとつのパターン。それは、会社の評価制度にあります。もともとは実店舗を中心として展開しているわけです。「実店舗の売上=実店舗担当スタッフの評価」であるケースが多いと思います。オンラインショップを立ち上げた際、そのまま「オンラインショップの売上=オンラインショップ担当スタッフの評価」と考えてしまいがちですが、ここで一歩立ち止まって評価制度を考え直してもらいたいのです。

 素直に「実店舗の売上=実店舗担当スタッフの評価」「オンラインショップの売上=オンラインショップ担当スタッフの評価」としてしまうと、こういったことが起こります。実店舗のスタッフはオンラインショップの存在をお客様に伝えたくない。そしてオンラインショップのスタッフは実店舗の存在をお客様に伝えたくない。こういった状態です。

 これは自分たちの評価が「実店舗の売上」「オンラインショップの売上」となっていることから、当然の心理だといえないでしょうか。実店舗でお客様の接客に時間をかけた、しかしお客様はオンラインショップで商品を購入した。これでは自分たちの評価には繋がらないわけです。

*会社の評価制度がサービスに制限をつける

 しかし、お客様は実店舗で買おうがオンラインで買おうが関係のない時代です。実店舗でもスマホでも、商品を買う場所の選択権はいつもお客様の側にあります。「会社の評価制度がこうなっているから」という理由で、お客様に提案するサービスに制限がつくとしたら非常にもったいないことです。

 母体となるビジネスがある、ネットを活用して販路を拡大していきたい。その気持ちを持っているなら、まずは評価制度を見直しましょう。実店舗の売上・オンラインショップの売上の一部をお互いにシェアする。直販全体の売上をまとめて評価する仕組みに変える。オンラインショップはマーケティングコストと位置づけ、売上をすべて実店舗につける。様々な方法があります。自社の体制に合った評価制度をみつけてください。

 評価制度を変えないとネットは必ず「失敗」します。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。