ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

アクセスが増えた理由は、きっとお客様が知っている―――。【no.1078】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「理由は・・わかりません!!」

 麻間(あさま)さんの言葉に、七海さんと友花里さんは衝撃を受けました。いままでどんなことでも答えてくれた麻間さんから「わかりません!!」なんて言葉が出てくるなんて・・。

「すいません。麻間さん。わからないってどういうことですか?」

 友花里さんはおそるおそる麻間さんに聞きました。

「Googleアナリティクスのデータを見れば、昨日の異常値から何かしらの原因があったことはわかります。ただ、どんなことが起こって『笹かまぼこ わさび』の検索ボリュームが増えたのかは、私でもわかりません。何かがあったことだけはたしかだと思うのですが・・。ただ、原因を知る方法がないわけではありません。むしろ、きっといずれ知ることになると思います」

 麻間さんの発言は意味深な言葉でした。「いずれ知ることになると思います」とはどういうことなのか、七海さんと友花里さんは不思議に思いました―――。

 翌日の朝、いつもと同じように「実行数値管理表」をつけると、また多くの注文がきていました。アクセス数も一昨日よりは下がったものの、まだ平日の10倍近くまで上がっています。売上が上がっていることは嬉しいのですが、七海さんにも友花里さんにも、どこかモヤモヤするものが残っています。

「何でアクセスが増えているんだろうね。やっぱり『笹かまぼこ わさび』ってキーワードの検索が増えてるんだけども・・」

 そのまた翌日は土曜日でした。週末になると、おにぎり水産の工場見学のバスツアーや観光客の方など、平日に比べて一気に実店舗に来店されるお客様が増えます。この平日はネットショップの注文対応に追われていましたが、週末は実店舗の営業対応に追われることになります。

 この土曜日は朝からお客様が多いということもあって、ネットショップを主に担当している七海さんも「笹かまおにぎり」の実店舗をお手伝いすることになりました。

 いつもは工場見学のバスツアーのお客様の方が観光客の方に比べて多いのですが、この日はなぜか、バスツアーのお客様よりも多く、観光客のお客様が「笹かまおにぎり」に来店されていました。そして、その多くのお客様が「わさび漬け笹かまぼこ」を購入されていくのです。実店舗に入ってくるなり、「わさび漬け笹かまぼこってどこに置いてありますか?」と聞いてくるお客様もいました。

 休憩中、七海さんと友花里さんはこのことについて話し合っていました。

「なんか、おかしいね。やっぱり『わさび漬け笹かまぼこ』を目当てに来店されているお客様が多いね。これ、絶対、ネットショップのアクセスが増えている理由とも関係しているよね」

 友花里さんが言いました。「あっ!」と、七海さんが何かを思いついたような声を上げました。

「思ったんだけどさ、お客様に直接聞いてみたらいいんじゃない?どこで『わさび漬け笹かまぼこ』のこと、知ったんですか?って。きっと、お客様なら麻間さんもわからない『理由』がわかるんじゃないかな」

「それって名案!!」

 珍しく友花里さんは七海さんのことを褒めました。

 休憩時間が終わり実店舗に戻ると、午前中よりもたくさんのお客様がレジに並んでいました。実店舗の中に入るなり、友花里さんはお客様のひとりに話しかけられました。

「この前、雑誌で紹介されてた笹かまぼことわさびが混ざったようなものが欲しいんですけど、ここにありますか?雑誌では、笹かまおにぎりさんにあるって、書いてあったんですよ」

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。