ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

こうやって、Eコマースの市場は荒れてゆく。前編【no.1090】

 とあるところに、カー用品を販売しているネットショップがあった。仮に、A社としよう。またとあるところに、カー用品をインターネットで販売しようとしている会社があった。仮に、B社としよう。今回はそんな、A社とB社。そしてカー用品のEコマースをするC社、D社、E社・・の話―――。

 A社はもともとカー用品の実店舗を営業している会社。近畿地方を中心として、10店舗ほどを運営している。そんなA社がEコマースをスタートしたのは10年前のこと。立ち上げには苦労をしたものの、カーナビがキラー商品となり、急成長をしてきた。

 カー用品は型番の商品が多い。だから、インターネット上では簡単にお客様が商品の比較をする。たとえ薄利だとしても、1つでも多くの注文をいただくために―――。ネットショップ同士の値引き合戦、サービス合戦、広告合戦が絶えない業界だった。

 しかし、お互いの首を絞め合うような時代も数年が経って落ち着いた。ネットショップをやめてしまった会社もあれば、ネットショップを続けている会社もある。その中でも、何とかA社は、生き残ることができた。カーナビに続く、次の商品。ドライブレコーダーの流れにいち早く乗ることができたのだ。

 東海地方の主要都市。ここにB社があった。B社も8店舗ほど、カー用品の実店舗を運営している。これまでは実店舗を軸として売上を立てていたが、社長が代替わりをしたタイミングで、インターネットを積極的に活用することになった。

 しかし、B社にはEコマースのノウハウがない。ホームページも15年前に地場の制作会社につくってもらってから、ほとんど更新をしていなかった。最新の情報は、1年前に社長が交代したことを伝える情報だった。これも、制作会社にお願いをして更新をしてもらった。毎月、保守料として3万円を支払っているのだが・・。

 ある日、ネットショップをスタートするにあたって、B社の社長はホームページの更新をお願いしている制作会社を呼んだ。

「あのですね。今度、ネットショップでカー用品を売ることにしまして。我々、まだネットショップもない状態なので、御社に制作をお願いしたい」

 制作会社にはすでにネットショップを構築した事例がいくつもあった。ネットショップの企画はサクサクと進み、B社のネットショップは相談から2ヵ月後で立ち上げることができた。

 ある日、A社のネットショップ担当スタッフは、B社のネットショップが立ち上がっていることを知った。月に1度の競合調査でB社のホームページを閲覧したところ、「新着情報」の欄に「B社のオンラインショップがオープンしました!」とあったのだ。

 A社のスタッフはリンクをクリックして、B社のネットショップへと飛んだ。トップページを見るなり、なんだか嫌な予感がした―――。

 B社のネットショップがオープンしてから2ヵ月が経った。しかし、思っていたほど注文をいただくことができない。B社の社長は再び制作会社を呼び、打開策について相談をした。

「ネットショップはまず旗を立てることが重要です。B社のネットショップがなぜ売れないのか。それはネットショップの存在がお客様に知られていないからです。まずは、1つお客様に向けての旗を立てましょう」

 制作会社が提案したのは、現在、市場のトレンドであるドライブレコーダーを販売のメインに持ってくること、ドライブレコーダーに対してインターネット広告を活用することだった。ドライブレコーダーを売りまくることで、市場にB社のネットショップを認知してもらう。そんな戦略だ。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。