ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

日々の改善を続けていないと気づけないこと【no.1120】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「『内的要因』でも『外的要因』でもない、中間地点が存在します。これが成長のポイントです」

 麻間(あさま)さんがいいました。七海さんは、「『内的要因』でもなく、『外的要因』でもなければ、何?」と小さな声でいいました。

「自分たちは気づいていないけれども、本当はできることというのがあります。『潜在的内的要因』という表現ができるかと思います。七海さん、たとえば、普段、七海さんはネットショップ運営でどんなことをやっていますか?」

 七海さんは自分が毎日つけている「実行数値管理表」を見ながらいいました。

「基本的には、午前中は注文の処理と物流関係の仕事をやっています。午後はネットショップでまだ販売していない商品の商品登録とか検索キーワードの改善とか、キャンペーンのバナーを作ったりとか。商品の画像を撮りなおして掲載することもありますし、説明文を変更することもあります。通常業務っていうと、それくらいですかね」

「七海さん、ありがとうございます。いま、七海さんがおっしゃった内容が『内的要因』の主たるもの、ということになりますね。では、友花里さん、おにぎり水産ネットショップに最近起こった『外的要因』って何でしたっけ?」

 友花里さんが少し驚いたように答えました。「『わさび漬け笹かまぼこ』が雑誌に紹介されて、とても売れていること、ですよね」。

「友花里さん、ありがとうございます。そうですね。これは今週起こったばかりの『わさび漬け笹かまぼこ雑誌紹介事件』。これがおにぎり水産ネットショップにとっての『外的要因』になります。ここからがポイントです。『わさび漬け笹かまぼこ』が雑誌に紹介されたことによって、七海さんと友花里さんのアクションに変化があったと思います。それは何ですか?」

 ここは七海さんではなく、友花里さんがこたえました。

「『わさび漬け笹かまぼこ』が雑誌に紹介されたことをお客様からうかがって、『わさび漬け笹かまぼこ』の在庫を大量に追加して、実店舗の棚の位置を変えました。もっとお客様に手に取ってもらえるように、『雑誌で紹介されました!』ってポップと、『今週、ネットショップで300コ売れました!』ってポップを出して。あとは、実際に掲載された雑誌のページの切り抜きを置いたんですよね」

「なるほど。『わさび漬け笹かまぼこ』の数字が動いた、という気づきから『雑誌で紹介された』という情報を得て、もっと商品を売れるようにするために様々な工夫を施されたんですね。それが『内的要因』と『外的要因』の間にある中間地点です。つまり、自分たちはまだ実践していない、けれども実は自分たちでコントロールできる『チャンス』がどこかにあるということです。『実行数値管理表』を運用することによって、この中間地点を探していかなければいけません」

「でもそれって、『内的要因』とも言えませんか?」

 七海さんが突然質問をしました。

「そうですね。最終的には『内的要因』になります。ただ、自分たちが日々の改善を続けていないと気づけないことですから、『内的要因』とはいえません。『外的要因』からチャンスを探し、気づいていない中間地点を見つけて、いかに『内的要因』にできるかを考える、実践する。言葉でいうのは簡単ですが、これが簡単に実践できれば、誰でも成功しています。理屈を覚えるだけではなくて、大切なのは『行動すること』ですね」

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。