ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

お客様の買い方に疑問を持つ。そこに潜在的なニーズが隠れている。【no.1138】

 お客様の買い方に疑問を持つ、ということが新しい価値を生むためのタネになります。

 我々はネットショップを運営するとき、自分たちの考えた範疇で商売を営みがちです。「うちのネットショップはお菓子屋」と決めたら、クッキーやキャンディーやケーキをネットショップに出品していく。ケーキを楽しく食べている様子を写真に撮ってネットショップに掲載する。もちろん、ネットショップの運営として間違いではありません。

 ただ、自分が考えた範疇のアイデアは、あくまで自分の範囲内でしかありません。お客様が欲しがるものなのか否か、とは別物なのです。大切なのは、「お客様がなんで商品を買うかは、お客様自身が一番知っている」という認識を持つことではないでしょうか。それはけっして、ネットショップを運営する側が一方的に決めることではありません。

 お客様は必ず「何かの目的」をもってネットショップから商品を買っています。自分たちとしては、ネットショップでただ単にクッキーやキャンディー、ケーキを売っているという認識だったとしても、お客様は「何かの目的」があってその商品を選択しているわけです。Eコマースを成長させるために知りたいのは、この「何かの目的」ということになります。

 例えばケーキを購入されたお客様がいたとします。誕生日に使うために購入した方がいれば、友人の家に遊びに行く手土産として購入した方もいると思います。同じ誕生日の利用だったとしても、小学生のお子さんの誕生日ケーキの場合があれば、お爺ちゃんお婆ちゃんの誕生日ケーキの場合もあるはずです。

 また、一度にケーキを10個買ったお客様がいたとします。誕生日ケーキにしても、手土産としてもさすがにケーキ10個は多すぎます。こういったお客様の注文を見逃してはいけません。「何でお客様は一度にケーキを10個購入されたのか?」。それを考えるのです。そこに商売を拡大するためのヒント(=潜在的なニーズ)が隠れている可能性があります。

 お客様の購入履歴のデータから予測がつかなければ、お客様に「どういったことに使われるのでしょうか?」と聞いてみるのも良いでしょう。購入後のレビューを確認すれば「毎月の園児誕生日会で使わせていただきました」などと、用途や利用目的をお客様自身で書いてくれている可能性もあります。メールを送れば、レビューを確認すれば、100%ヒントがもらえるわけではありませんが、やらなければ確率はゼロです。

 「毎月の幼稚園児の誕生日会でケーキを10個買った」というニーズを知ることができれば、セットで購入してもらうための新しい商品を企画することができます。メッセージカードや写真入れかもしれません。ネットショップのWEBサイト上で「園児誕生日会などのまとめ買いに対応できます」とうたうこともできます。お客様の買い方が、次の施策へのヒントをくれるのです。

 お客様はあなたのネットショップをじっくり見てくれません。「このネットショップはまとめ買いに対応できるだろうか?」などと考えてくれません。「まとめ買い」に対応してくれる(という表記がある)ネットショップを探すだけです。Eコマースは商圏がありませんから、すべてのショップが比較対象になります。「必要だったら、お客様が連絡して聞いてくれるだろう」などとは考えないことです。まずは、こちらからニーズに対しての発信をすることが大切です。

 お客様の買い方に疑問を持つ、身近なところにいくらでもヒントが隠れています。

 おわり。

 

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。