ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの「システム・DB」担当者における改善指標【no.0357】

 「データをとって、毎日カイゼン」するための指標づくり。(前回はこちら

 第五回目です。一回目に「商品企画・商材開拓」担当者の改善指標を、二回目に「制作」担当者の改善指標を、三回目に「集客」担当者の改善指標を、そして前回四回目に「運営」担当者の改善指標として、「リピート率」「リピート回数」「販促企画の回数、メールマガジンの回数」を紹介しました。今回は、「システム・DB(データベース)」担当者における改善指標を考えます。

 まずは、ネットショップの「システム・DB」担当者の仕事のおさらいです。「システム・DB」担当者のミッションは、データを正確に管理すること、そして様々なサービスに応じられる仕組みをつくること、この2つです。データ管理という点では、セキュリティの問題が絡んできます。サービスに応じる仕組みという点では、フロントヤードとバックヤード、Eコマース事業の全体を見渡せなくてはできない重要なポジションです。

 「システム・DB」担当者のメインの仕事は、システムの構築と運用になります。自社のEコマース事業、マーケティング戦略の特性を理解し、システムの構築と選択を行います。ゼロからスクラッチで構築するパターン、クラウド・ASPのサービスを利用するパターン、ソリューションの選択肢は様々です。一方、ネットショップを成長させるためには差別性のあるサービスが必要になります。サービス内容によっては既存のシステムで対応できないものも多く、どうしても手作業や目視での確認作業が入ります。サービスの成長に合わせて、システムに新しい機能を追加していく、これも「システム・DB」担当者の役目です。新しいサービスを実現するための、一歩先を求められるポジションなのです。

 では、「システム・DB」担当者の改善指標を考えます。

1.システム処理時間
 「システム・DB」担当者の改善指標はここに集約されます。実は、ネットショップで展開している全てのサービスに対応するシステムを作ることができれば、お客様に注文をいただいた受注データの処理、お客様と購入情報のデータベースへのアップロード、物流業務へのデータ指示、仕入先への発注データの管理、これが全てワンクリックで済んでしまうのです。この場合、システム処理にかかる時間は、ほぼゼロ(コンピューターの動作のみ)ということになります。また、複雑なネットショップの運営をやめ、販売している商品が1商品、お客様が注文できるのは1つだけ、配送はヤマト運輸のみ、決済方法は代引きのみ、在庫無制限ということであれば、これもシステム処理にかかる時間は、ゼロ。システムというものの存在が必要なくなります。とはいえ、現実にはこのようにはならないので、新しいサービスの追加の後、手作業を仕組化しシステム内に入れ込む、という仕事で処理時間を削っていくしかありません。

2.機能的なサービス提案数
 次に変化球の改善指標です。「機能的なサービス提案数」というとわかりづらいですが、ネットショップの新しいサービスとして「システムとしてはこんなことできますよ」と提案した数と考えてください。ネットショップの運営業務は、「商品企画・商材開拓」「制作」「集客」というフロントヤードの仕事と、「システム・DB」というバックヤードの仕事が分断される傾向があります。フロントヤードとバックヤードの仕事を両立して経験しているスタッフが少ないのです。そこで、「バックヤードが処理できないキャンペーンをフロントヤードが打ってしまった」「バックヤードでのシステム化は容易なのに、フロントヤードは『難しい』と思い込んでいる」こんなことが往々にして起こります。「システム・DB」担当者がフロントヤードの仕事を理解し、システムで解決できる新しいサービスを提案する。これができれば素晴らしいことです。これからの「システム・DB」担当者として、そんな人財が求められるのは間違いないでしょうね。

 商材、ビジネスモデルにより様々ですが、「システム・DB」担当者の改善指標について考えました。次回は、「物流」担当者の改善指標について考えます。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。