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ネットショップの規模別の課題「月商1,000万円」のフェイズ【no.0401】

 ネットショップの規模別の課題「月商1,000万円」のフェイズ。(前回はこちら

 さて、売上ゼロのフェイズ、月商10万円のフェイズ、月商100万円のフェイズ、月商300万円のフェイズ、月商500万円のフェイズときて、やっと月商1,000万円のフェイズに到達しました。

 ネットショップ1店舗あたりの売上が月商1,000万円に到達すると、多店舗展開・ブランド展開を合わせれば、月商2,500万円から4,000万円規模のEコマース事業に拡大しているかと思います。年商にして3億円から5億円のビジネスです。リアルでブランド認知があり、その上でインターネットにチャネル展開をする企業や、ショッピングモール・カートASPなどのプラットフォーム側ではなく、Eコマース専業の事業者や、中小零細企業のEコマース事業としては、この3億円から5億円という売上高が、ひとつの目標地点になるのではないでしょうか。

 今回は、月商1,000万円のフェイズの課題を大まかに洗っていきます。

「拡大路線」でいくのか、「現状維持」でいくのか

 課題のひとつは、売上の成長です。月商1,000万円のフェイズに到達すると、商材カテゴリでも上位に位置するようになります。いままでは、市場の中でエッジを立てることによって、大規模中規模のEコマースサイトではカバーできないお客様を取り込んでいけば良かったのですが、このフェイズに到達すると「拡大路線」でいくのか、「現状維持」でいくのかという選択に迫られます。具体的にいえば、月商1,000万円のネットショップを月商2,000万円、3,000万円に成長させていくのか、もしくは月商1,000万円のネットショップを2店舗3店舗と増やしていく方に展開させていくのか、ということです。一般的に「拡大路線」というと、前者のことを指すことが多いですが。後者も「現状維持」と言いつつも「拡大路線」ではあります。今のEコマースの市場を見る限りでは、後者の「月商1,000万円のネットショップを増やしていく」選択の方が、より堅実で長く継続して事業を成長させていけると思います。

コストを抑えつつ、ステップアップに繋がるような管理体制

 もうひとつの課題は、コストダウンです。Eコマース事業の規模が大きくなるにつれて、リスクも大きくなっていきます。特に、ネットショップにおいては、広告の管理、在庫の管理、運用(人)の管理という3つをしっかり押さえておかないと、市場の変化によっては一気に事業が傾く可能性があります。また、コストセンターとも思われがちな「システム・DB(データベース)」「物流」「カスタマーサポート」というバックヤードの仕組みのフロントヤード化を積極的に行っていかなければいけません。コストを抑えつつ、次のステップアップに繋がるような管理体制が望まれます。

現場のスタッフの「個の力」を高める

 そして、売上アップとコストダウンに伴う人材育成が3つ目の課題です。売上アップの理論を理解し、日々実践していくのが人財であれば、コストダウンの理論を理解し、日々実践を重ねていくのも人財です。例え、経営者や事業責任者が理論を理解していたとしても、現場のスタッフの理解が弱ければ、売上アップとコストダウンの両輪は回っていきません。Eコマース事業がネットショップ1店舗の売上で成り立っていた時代は、経営者や事業責任者が「あなたはこの業務をやってください」と言えば仕事が回っていきましたが、月商1,000万円のネットショップを複数立ち上げて売上を作っていくためには、現場のスタッフの「個の力」を高めていかないと、売上は立っていきません。売上アップとコストダウンのバランスを取りながら試行錯誤ができる「プチ経営者、プチ事業責任者」を現場に何人揃えているか、その人数が「イコール(=)売上」になっていきます。

 では次回から、「月商1,000万円のフェイズ」の具体的な課題について考えていきます。

 つづく。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。