ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップは70%でスタートし、チューニングしながら100%に近づける【no.0820】

 ネットショップは「変えられること」がこれまでのビジネスと大きく異なります。そして、「変え続けていくこと」でネットショップは成長し、成功へと近づいていきます。

 以前、カタログ通販を中心にやられている会社のコンサルティングをおこなったことがありました。これまでカタログ通販一本の販売チャネルで売上をつくってきたが、これからはネットショップも強化して売上を上乗せしていきたい、そういった要望でした。

 カタログ通販、紙通販を中心にやられている同じような会社、日本中にたくさんあるかと思います。

 この会社のマーケティングで特徴的だったのは、「この写真はいいか、このレイアウトはいいか」をみんなで何度も議論をすることでした。最初、私には意図がわからなかったのですが、ミーティングを重ねていくうちにあることに気づきました。この会社には「更新」という概念がない、ということです。

 悪く言っているわけでも、馬鹿にしているわけでもありません。これまでカタログ通販でおこなってきた文化を、そのままネットショップにあてはめたからこそ、そこに「更新」という概念がなかったのでしょう。

 カタログ通販には「更新」という概念はありません。紙通販にも「更新」という概念はありません。キャッチコピー、写真、デザイン、レイアウトを決定し、印刷屋さんにお願いした時点である意味「売上が決定」します。あとは、お客様の元に冊子をお送りして、良い結果を待つのみです。

 ネットショップの場合、ECサイトや商品ページを作成した後でも変更が可能です。デザインもレイアウトも、写真もキャッチコピーも変えることができます。さらに、取り扱う商品も変えることができますし、対象とするお客様(ペルソナ)も変えることができます。これがリアルとの決定的な違いです。

 実店舗の場合、商品の棚卸をおこなったり、店舗の改装をおこなったりするのは重労働です。一度店舗を閉めないとできないこともあるでしょう。しかし、ネットショップの場合、在庫管理はショップをオープンしながらでもできます。改装は別のHTMLを作成しておき、一瞬で入れ替えることで完了します。ショップを閉める必要はありません。

 しかも、新しくカイゼンしたネットショップのお客様からの反応があまり芳しくなかったとしたら、すぐに以前の形に戻すことができます。むしろ、「反応が悪かったら戻す」ことを前提としてカイゼンを重ねていかなければいけません。

 この「更新」という概念を知らないままネットショップを始めてしまうと、「ネットショップをつくったのに全然売れない。もうどうすればいいかがわからない」ということになります。ネットショップは「作ったら売れる」ではないのです。

 インターネットのサービスはすべて70%からスタートです。カタログ通販や紙通販、実店舗は100%でのリリースを求められますが、ネットショップは70%からスタートして大丈夫です。70%でスタートして「更新」を重ねながら、お客様にとっての100%に近づけていくのがインターネットのビジネスということになります。

 そして、70%を100%に近づけるために活用するのが「データ」です。ネットショップは「客観的」で「定量的」なデータに基づいて更新・カイゼン活動を繰り返していきます。ネットショップは気合やヤマ勘でやるものではありません。理屈を回して運営・運用していくものです。

 70%でスタートし、お客様との距離をチューニングしながら100%に近づける。これからネットショップをスタートされる方は、ぜひ頭に入れておいてください。

おわり。

 

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。