ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

自分と他人を比べると、窮屈になる。自分と自分を比べると、前向きになる【no.0834】

 自分と他人を比べない。

 人生を幸せに生きる上でもっとも大切なことのひとつでありながら、もっとも難しいことのひとつではないでしょうか。

 先日、ある経営者の方と食事をしました。そのときに聞いたお話です。

 この経営者さんには息子がひとりいます。その息子は、知的障がい者だというのです。この息子から、「自分と他人を比べない」ことの大切さを学んだという話でした。

 赤ちゃんのときは他の子どもたちとはそれほど感じられなかった「できること」の差が、1歳2歳、幼稚園、小学生になると目に見えて開いてきます。最初はそれが不安で、怖くてたまらなかったらしいのです。しかし、時間が経つごとに「仕方がないことだ」と思うようになり、「他の子どもと比べることをやめよう」と思った瞬間、肩の荷がおりて視野が広がったといいます。

 小学校の運動会で、息子さんが徒競走に出ました。学校の方針で、知的障がい者の子どもも区別せず、他の同級生5人と一緒に走りました。息子さんはピストルの音に驚いてなかなかスタートできず、断トツの最下位。でも、「頑張れ!頑張れ!」「頑張った!頑張った!」とたくさんの応援をもらったようです。

 その徒競走を録画したビデオに、偶然にも2位になった子どもとその親御さんのやり取りが映り込んでいました。親御さんは子どもに「なんで2位なんだ!1位じゃなきゃダメだろ!」と怒っていたらしいんですね。

 その様子を見て、経営者さんは「息子とその子、どちらが幸せなのだろうか・・」と深く考えた、といいます。

 その経営者の方とは4年ほどのお付き合いがありますが、はじめて伺った話でした。ちょうど私が「どうしても自分と他人を比べてしまう」という話をポロッと相談したから話してくれたのかもしれません。

 自分と他人を比べない。それをわかっていても、どうしても自分と他人を比べてしまう、という方は多いのではないでしょうか。

 これは情報社会のデメリットのひとつでもあると思います。

 SNSやスマートフォンによって、いつどこでも他人がいま何をしているのか、他人に何が起こっているのかがわかる時代です。以前は気にしていても知ることができなかったことが、あるひと握りの有名人だけではなく、全世界の個人まで知ることができるようになっています。

 しかも、他人の情報からどうしても目につくのは「良いこと」ばかりです。「良いこと」だけを自分以外の他人に向けて発信しているということもあります。誰もわざわざ「裏の部分」の情報を発信することはないのです。「自分以外の他人はみんな上手くいっている」「自分以外の他人はみんな幸せ」というような思考が生まれてもおかしくありません。一種の「情報による『洗脳』」です。

 かくいう私も、「自分と他人を比べない」ことが苦手な人間です。子どもの頃から「競争」によって自分の存在意義を確認してきたようなところがあるので、自分と他人を比べて過剰にプレッシャーを感じ、自分をつまらなくしてしまうところがあります。

 自分と他人を比べずに、自分の道を自分のペースで毎日着実に進んでいく。

 「自分と他人を比べる」という癖は簡単には治らないかもしれません。ただ、日々心の中に言い聞かせることによって、少しずつ自分の中の自分に正直になれていくのかもしれません。また、その経営者さんのように、何かをきっかけに考え方が変わるのかもしれません。

 ただひとつ言えることは、情報社会において「自分と他人を比べる」ことは幸せを縮めるということだと思います。自分が比べるのはあくまでも「過去の自分」でありたいものです。

 おわり。

 

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。