ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

専任をつけられないなら、全社的に取り組む宣言を。【no.0303】

 ネットショップ、インターネットビジネスのみならず、新規事業をスタートするときに、まず考えなければいけないこと、そして事業の成功の大きな鍵を握るのが、「担当者を誰にするか」ということになります。そして、その担当者を、「専任」にするか、それとも「兼任」にするか、これも重要な成功のポイントです。当然、本当に事業を成功させたいのならば、「専任」を付けることが必須の条件でしょう。

 コンサルタントの立場としても、ご相談いただいた方にまず確認するのは、ネットショップの担当、インターネットビジネスの担当が「専任」か否かです。新規でネットショップやウェブサイトを立ち上げる場合には、専任の担当者を付けるか否かは、必ず議論することになります。

 では、なぜ「専任」が望ましいのか、です。専任の担当者は、24時間365日、事業について考え、頭を悩ませることができます。ネットショップ、インターネットビジネスを専任の担当者がリーダーとして企画・構築・運用をしていく中で、いいアイデアにたどり着いて、ウェブサイトを構築して、リリースと同時にホームラン、というようなことは万に一つです。多くのサービスは、リリース後、思っていたよりもアクセスが来ない、思っていたよりもサービスを利用していただけないことに悩み、運用改善を繰り替えしていくことになります。

 そこに必要なのは何かといえば、「やりきる力」です。特定のスキルがあるとか、能力が高いとか、そんな問題ではありません。自ら考え、実践し、検証し、また考える。事業を成功に導くためには、「ひたすら手探り」を続けることが必要になります。そんな試行錯誤は、24時間365日、事業のことを考え続ける、専任の担当者でなければできません。なにせ、専任の担当者と事業は、1対1の関係です。責任という意味でも、専任の担当者は事業に真正面から向き合わなければいけないのです。

 とはいえ、専任が理想とは理解していても、まだ花が開くかもわからない事業に担当者を付けるコストがかけられない、という気持ちもわかります。インターネット専業の企業は別として、すでに母体となるリアルビジネスをやられていて、インターネットに直販の販路を広げようとする企業の場合、「専任担当者はどうしても~」ということが多いと思います。専任の担当者を付けないから売れないのか、それとも売れないから専任の担当者を付けられないのか、はたまた、本当に専任の担当者を付ければ売れるようになるのか、というニワトリとタマゴの話にもなりがちです。

 ネットショップ、インターネットビジネスには乗り出したい、乗り出さなければいけない、しかし、最初から専任を付けることはできない、兼任の担当者を置くことからスタートしなければいけない。そんな場合、経営者の方に必ずお願いしたいこと、それは、「全社的に」新規事業(ネットショップ、インターネットビジネス)に取り組むことを宣言することです。「専任の担当者は置けないので、兼任としての担当者・責任者を置いてスタートするけれども、会社としては本気でやります、みなさんサポートをお願いします」と、全社に対して宣言をするわけです。つまり、新規事業に対して、全社として責任を持つ、退路を断つ、本気で試行錯誤を続けることを決めてしまうのです。

 ちなみに、良くないのは、兼任の担当者を決めて、なんとなくインターネットを新規事業として始めて、成果があがらないのでさしたる「手探り」もせず放置気味になり、もう一方の仕事の方に力を入れてしまうような場合です。その結果、いつの間にか、インターネットの新規事業が終わることになります。社内で新規事業が始まったことも、終わってしまったこともわからないスタッフがいたりも。軌道に乗り始めたら・・では、新規事業が成功するはずもありません。そもそもそんな取り組み方では軌道に乗ること自体が無いのです。

 専任を付ける、それができなければ、全社的に宣言をする。必ず守ってもらえればと思います。

 おわり。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 4.Eコマースの人財育成, 6.Eコマースの悩み, 7.Eコマースのひと工夫

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。