ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

Eコマースの「的当てゲーム理論」を知り、ネットショップのPDCAを理解する【no.0767】

 Eコマースのマーケティングを理解するため、まず知っておきたいのが「的当てゲーム理論」です。

 「Eコマースは的当てゲームなんですよ」と、私は講演やセミナーの最初でしばしばお話しさせてもらっています。ちなみに、この「的当てゲーム理論」。私が自分で考えたオリジナルです。

 ネットショップを運営しているあなたが的に向かってボールを投げるプレーヤーです。プレーヤーは的に向かってボールを投げます。この的ですが、暗闇の向こうのどこかに存在しているためどこにあるのかプレーヤーからはわかりません。

 暗闇の向こうのどこかにある的に向かってプレーヤーはボールを投げます。的に当たったか、当たらなかったか、もしくはどれくらい的から外れていたかを「見る」ことはできません。ただし、的に当たったか、当たらなかったか、的の中心に当たったか端っこに当たったかは、「音を聞く」ことによって読み取ることができます。

 ボールを投げたプレーヤーは、暗闇の向こうから聞こえる「ポーン」や「ドスッ」や「パーン」や「スカッ」や「カコーン」という音を聞いて的の位置の予測を立てていくのです。そして、「的はもう少し右だろうか」「もっと奥だろうか」「全然違う方にボールを投げてみようか」などを考えて、次のボールを投げていきます。

 この「的当てゲーム」の特徴は、基本的に「ボールを投げる回数」に制限がないことです。プレーヤーは暗闇の向こうにボールを投げ、暗闇の向こうから聞こえる音を聞いて、また暗闇の向こうにボールを投げます。そしてまた音を聞き、少しずつ的の真ん中にボールを近づけていくわけです。

 この「的当てゲーム」こそ、Eコマースというビジネスです。

 まず暗闇に向かって投げるボールが、ネットショップを運営していく中で日々お客様に提案する「施策」です。的を隠す暗闇が「インターネット」です。的が「お客様」です。そして、暗闇の向こうから返ってくる音が「データ」ということになります。

 ですから、Eコマース事業を成功させるためのカイゼン活動はこのようなものになります。

 プレーヤー(=ネットショップ運営担当者=事業者)が、インターネット上にいるお客様に向かって施策を打つ。するとお客様が施策に反応してくれたのか、してくれなかったのかがデータというカタチで返ってくる。データを確認して状況を判断し、プレーヤーは次の施策をお客様に投げる。またお客様の反応がデータで返ってくる。この繰り返しです。

 ポイントになるのは、この「音を聞く=データを読む」というところです。どうしてもお客様へのアプローチを「やりっぱなし」にしてしまいがちです。広告やチラシ、ポスティングなどの販促活動も、実践するまでは時間をかけて検討するのに、終了後は「効果あったね」「効果なかったね」のひと言で済ませてしまうことも多いのではないでしょうか。

 施策は「原因」、データは「結果」です。「原因」があるからこそ「結果」があり、「結果」からは「原因」の良し悪しを判断することができます。Eコマースは実店舗や製造メーカー、製造卸の仕事に比べて「データの取得」が容易です。ここをカイゼン活動に役立たせることで、事業の成長が加速していきます。

 施策を考え、実践して、検証して、次のカイゼン施策を考える。ここまでがネットショップの運営の仕事のひとセットです。つまり、PDCAサイクルです。施策を考え、実践して、検証せず、次はまったく違う方向の施策を考える、というようなことは避けましょう。

 Eコマースの「的当てゲーム理論」。ぜひ社内のスタッフの皆さんに浸透をさせていってください。

 おわり。

 

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。