ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「まだまだ売れる」「そろそろテコ入れが必要だ」の判断を定量的に行う【no.1162】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「フリースを実店舗でたくさん売ろうと思ったとしたら、七海さんはどうしますか?」

 麻間(あさま)さんが七海さんに質問すると、七海さんはすぐに答えを返してきました。

「うーん、まずはチラシですかねぇ。実店舗なので商圏の地域にフリースをメインにしたチラシを配ってみて、どれくらいの反応があるかを調べてみると思います。たとえば、地域Aに1,000枚のチラシを配ったとして、翌日・翌々日とか週末の土日にどれくらい反応があったかとか、そういうのを気にすると思います」

 七海さんが、「チラシを配る」という手段の話だけではなく、具体的な施策の数字(地域Aに1,000枚配る)そしてその成果の指標(週末までに何件注文があるか)にまで言及したことに、麻間さんは素直に驚きました。おにぎり水産ネットショップチームのマーケターとしての成長に感心しました。

「七海さん、いいですね。じゃあ、友花里さんはどう思いますか?」

「七海の話に少し似てるかもしれないですけど、ちょっと進化版として。『地域Aに1,000枚チラシを配る』という手段はいくつかパターンがあると思うんですよね。たとえば、1,000枚のチラシをポスティングで配るという方法。たとえば、新聞の折り込みチラシで配るという方法。ポスティングも平日に1,000枚配るのか、週末に配るのかでも効果が変わってくると思いますし、地域Aと地域Bを比べたら違った成果が出るかもしれない。地域Aは平日のポスティングが良くて、地域Bは週末の新聞折り込みが良いとか。このあたりの分析がしっかりしてくると、『売れるものを最大限売れる』状態に近づくんじゃないかと思います」

「完璧ですね!!」

 麻間さんが手放しで友花里さんを褒めました。「完璧」なんて言葉が麻間さんから出たのは初めてです。麻間さんは七海さんと友花里さんの成長とマーケティングのセンスを改めて感じました。

「七海さんの意見、友花里さんの意見、ともにすごくいいですね。マーケティングを展開していく上で重要なのはまさにその部分です。『実行数値管理表』でいつも練習をしているように、『この数字になったのは、これをやったからだ』と『これをやったから、この数字になったんだ』の因果関係を繋げていく。それをできるだけ詳細に繋げていく。そうすると、『まだまだ売れる』『そろそろテコ入れが必要だ』の判断を定量的にできるようになるわけですね。これが『売れるものを最大限売れる』ことのすごさだと思います」

「やっぱり、『原因と結果』を繋ぎ続けることの積み重ねなんだぁ」

 七海さんがしみじみといいました。麻間さんが続けていいました。

「さっきも聞きましたが、もう一回同じ質問をします。いま七海さんや友花里さんがいってくれた『原因と結果を繋ぐ』ということ。ユニクロの例のレベルで世の中の会社がみんなできていると思いますか?」

「・・・いや、できていないと思います。おにぎり水産も、正直全然できていないですし」

「そう。そこがマーケティングのポイントなんですよ。ここでもうひとつ、ユニクロについて私が聞いた面白い話をふたりにしたいと思います。『売れるものを最大限売る』の話を教えてくれた方とは別の方から聞いた話です。ただ、その本質は『売れるものを最大限売る』とまったく一緒のことだと思います」

 ―――。

「ユニクロが海外に実店舗を出すことになりました。その国では初めての出店です」

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。