ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ヤフーショッピングの無料化でのEC業界の影響は? 【no.0043】

■これがEコマース革命というものなのか‥!?

 ヤフーショッピングの新戦略でイーコマース業界の話題が持ちきりである。昨日の戦略共有会に参加していた友人がたくさんいたので、facebook上のタイムラインは見事にヤフーショッピングの話で並んだ。巷では楽天市場の崩壊だとか、ネットショップ出店者のリプレイスだとか、お客さんの移動だとか、けっこう極端な話まで進んでいる気がするのだが、果たして本当にそうなのだろうか。一応、ネットショップ運営者としてもコンサルタントとしてもヤフーショッピングの攻略に多少の実績がある者として、どんな影響がでるかを考えてみたいと思います。

 まずは、昨日の戦略共有会で発表があったヤフーショッピングの事項についておさらいしてみましょう。

・出店料としての初期費用21,000円と月額費用25,000円の無料化。(2013年10月請求分より)
・売上に対するロイヤリティ1.7~6.0%(売上高によって異なる)の無料化。(2013年10月請求分より)
・Yahoo!ショッピングからの外部リンクを解放
・個人による出店が可能に(本人確認手続きおよびYahoo!プレミアム会員登録を完了した方なら誰でも)

 これはすごい。これを受けて楽天市場がどう出てくるのかが注目ですが、収益の一番の柱である出店月額費用がゼロっていうのがすごい。ヤフーショッピングと楽天市場のショッピングモールとしての大きな違いとして、ヤフーショッピングはヤフージャパンっていうポータルサイトの下にあるというのがある。それが集客上のポイントにもなってるんだけども、出店月額費用ゼロはヤフージャパンがあるからこそできる芸当。普通に考えたら楽天市場じゃできっこない。でも三木谷さんも普通じゃないからね。何が起こるかわからないんだけども。

■EC市場にどんな影響がでるか。3つの視点から考える‥!

 どんな影響がでるかを考える上で、他のショッピングモールの立場(主に競合の楽天市場)、ショッピングモールのネットショップ出店者の立場、お客さん(ネットショッピングユーザー)の立場と3つのポイントに整理して書いていきたいと思います。それぞれへの影響は違うからね。

 まず、他のショッピングモールへの影響。楽天市場とかDeNAショッピングとか、まだオープンしてないけどLINEモールとか。新規でネットショップを開店したい企業はかなりヤフーショッピングへの出店に流れていきそう。どうせ売れるかわからないし、まずは無料のところで試してみて、ってなる。あと、いま有料のショッピングモールに出店していて、あまり売れてないから退店したいと考えていた、でも販路のひとつとしてネットショップを持っておきたい、って企業もヤフーショッピングに流れる。なので、6か月契約・12か月契約の期限が迫っている企業は何とかして退店を防止しないといけないですね。

 ある程度、他のショッピングモールで売上があるネットショップがヤフーショッピングをメインにする、ってのはすぐには無いでしょう。それは楽天市場でのお客さんが自社サイトに流れてくれないのと同じで、楽天市場でのお客さんはヤフーショッピングには簡単には移動しない。相当なファンをつけているネットショップでない限り。だから、モール側にとってここは安泰なんだけど、売れてる店なんて10%くらいだろうから、やっぱりある程度の退店は避けられなさそう。楽天市場よりも、DeNAショッピングとかヤマダモールとか、ポンパレモールとかそっちの方がヤバいのでは?

 次に、出店者への影響。ヤフーショッピングの出店者が増えるのは間違いない。しかも個人も出店できるようになるので、ドロップシッピングとかネット仕入とかで簡単に売ることができる商品の価格破壊が起きます。つまり小売り死亡遊戯。個人はお小遣いが稼げればいいわけだからね。原価ギリギリの勝負までいくでしょう。出店者が増えて、商品数が増えて、お店も商品もカオスな状態に。ヤフーショッピング内の検索機能とディレクトリ構成いかに改善されるか注目です。被害をこうむるのは、すでにヤフーショッピングである程度の売上を持っているネットショップかなと。ロイヤリティがなくなるので経費的な余裕はでると思うのですが、出店・出品さらに広告激戦になるので長期的に考えるとそれ以上の被害が出るような気がする。逆に、他のショッピングモールに出店しているネットショップは、ヤフーショッピングへの店舗のリプレイスとお客さんの移動のバランスが崩れれば、逆張りで勝機があるんじゃないかと思うんだけれども。店舗の移動の方が、お客さんの移動よりも確実に早いと思うので。

■今後のヤフーショッピングのキャンペーンに注目しよう‥!

 で、わからないのがお客さんへの影響。昨日の発表って基本的にネットショップ出店者に向けての内容であって、お客さんに向けての戦略とかではないんですよね。そこはそこで集客の施策を考えているんだと思うんですが、たぶんお客さんは簡単には動かない。ヤフーショッピングでは出店料とロイヤリティの無料分で商品価格を値引きするネットショップも出てくるだろうから、そういうのはヤフーショッピングで買うんだろうけども、出店も出品もカオスな状態だったらお客さんにはわかりずらく定着しないし、価格競争の商品以外は元々買っているショッピングモールに戻ってくると思うんだけども。ネットショップが増えてもお客さんが増えないと意味がない。ネットショップが増えればお客さんも増えるはずだ、っていう考え方もあると思うけど、増える側のネットショップが個人や新規出店、売れてない店のリプレイスの比重が多ければ、クオリティが決して高いとは言えないので、どうなのだろうか。

 結論としては、他ショッピングモールは退店が増え出店が減るので当然マイナス、出店者はヤフーショッピングをメインにしなければプラスの可能性高い(現段階では)、お客さんはたぶん今までどおりいろいろ比較して買うので別に影響ない、じゃないかなぁと。他のショッピングモールがモール自体を閉じる可能性があるとしたら、ネットショップ出店者としては困っちゃうんだけども。

 あとはヤフーショッピング自体の「お客さんに向けて」の施策に注目しましょう。

こちらも合わせてお読みください。
「ヤフーの「eコマース革命」は改善のチャンス!いま出店者がやるべきこととは・・?」
これは早目に知っておきたい・・!ヤフーショッピング広告戦略のポイント・考え方。前編

 

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 1.Eコマースを始める, 8.Eコマースの集客

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。