ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

改善のアイデアは、絞れば絞るほど生まれてくる。絞らなきゃ生まれない。前【no.1047】

 絞れば絞るほど、改善のアイデアは生まれてきます。「なんで今までそんなことに気がつかなかったんだ!?」と思うような改善アイデアも、絞り続けなければ出てきません。今日はとあるネットショップの話です。

 あるひとつのネットショップがあります。このネットショップは前月、つまり今年の7月。前年同月2倍の実績をたたき出しました。この売上をけん引したのは、たった3つの商品でした。この3つの商品が売れに売れて、前年同月200%アップを達成したのです。

 過去のデータから、この時期にこの3商品の需要が大きく動くのはわかっていました。単価も安くはない商品です。ネットショップで扱っている他の100商品に手を入れ、頑張って売るよりも、この時期はこの3商品に絞ってマーケティングを展開していく方が売上につながる。その確信がありました。

 そこで、5月から、徹底的にこの3商品のマーケティングを改善していくことにしました。もちろん他にも「やった方がいいこと」はあります。ただ、売上という結果を残すためには、「やった方がいいこと」を捨て、「やらなければいけないこと」に徹底することも大事です。

 まずは、検索の対策から始めました。お客様がどんなキーワードでこの商品を探すのか。お客様の立場に立って、イメージを膨らませます。ひらがな書き、カタカナ書きはもちろんのこと、実店舗に来店されるお客様や問い合わせ電話をいただくお客様が「どんな表現をするか」まで考えて、検索の対策を進めていきました。とにかく、ネット上でこの3商品を探したお客様には「絶対に1度は目に触れて」もらえるように工夫をしたのです。

 次に改善をしたのは、このネットショップでこの3商品を買うことの意味付けです。検索対策の次、となると商品画像の改善が思い浮かびそうなところですが、この3商品はいわゆる「型番商品」のため、実は画像の工夫の優先順位はそれほど高くはありません。他店で売っているものと「同じ物」だということがわかれば、お客様の購入の選択肢の中に入るだろうという考えでした。

 逆に「同じ物」が検索結果の画面に並んだとき、自社のネットショップの商品ページを見てもらうにはどうすればいいか、自社のネットショップで購入してもらうにはどうすればいいか、この意味付けをすることが非常に大切です。この工夫がお客様にヒットするか否かによって、売上が大きく変わります。極端にいえば、競合に売上を取られゼロの可能性もあります。当然、100%の売上を総取りできる可能性もあるわけです。

 この3商品は「型番商品」ですから、お客様の強い購入動機になるのは「価格」です。付加価値はもちろん重要ながら、価格で大きく負けていては市場としてツライ。競合ネットショップも気づかぬうちに価格を動かして、こちらの値段をくぐらせてきます。改善活動としては、他店の価格変動をウォッチする回数を増やすことでした。定期的に、少なくとも1日1回は競合ネットショップの価格を確認することにしました。地味ですが有効な手立てです。

 価格で大きく負けなければある程度の売上は取れるだろう、という予測はありましたが、それでもやはり取り切れない層はあります。圧倒的に価格を重要視するお客様もいれば、価格はそこそこでもアフターケアが安心できるところがいいというお客様もいます。信用できるお店で買いたいというお客様もいます。売上をガツンと上げるためには、いかに付加価値をつけるかがポイントでした。

 そこで、ネットショップの名前を変えました。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。