ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップに参入する場合『どこに釣竿を垂らすか』終 【no.0038】

(前々回、前回のブログをご覧になってから、こちらをお読みください)
「これからネットショップに参入する場合『どこに釣竿を垂らすか』考えるポイントとは」前編
「これからネットショップに参入する場合『どこに釣竿を垂らすか』考えるポイントとは」後編

 「これからネットショップに参入する場合『どこに釣竿を垂らすか』考えるポイントとは」終章です。

 前半では、「競合が少ないこと」と「一定数のお客さんがいること」をポイントとして書きました。後半では、「原価率が低い」ことをポイントとして挙げ、価格競争に有利であること、販促広告費をより多く捻出できることを理由として伝えました。もちろん、自社のオリジナル商品で、販売価格と原価率をコントロールできる状態であれば理想的です。では、次のポイントです。

■お客さんが1度しか買わない商材は厳しい‥!

 お客さんにリピートされること。

 リピート商材というと、化粧品などの美容系商材や、ダイエット食品などの健康食品系商材を思い浮かべると思いますが、「お客さんにリピートされること」として考えた場合、洋服や靴などのファッション系商材、腕時計やバッグなどに多いブランド商材もリピートしていただける商材に入ります。なので、比較的広い意味での「お客さんにリピートされること」という意味で考えてください。商品のファンになってもらうだけではなく、ブランドやネットショップのコンセプトに共感していただけるファンを育てることができるか、ここがポイントだと思います。ネットショップで購入していただいたお客さんにまた使っていただけるか、顧客リストが企業としての資産になるかを考える必要があるかなと思います。

 「お客さんにリピートされること」と「顧客リストが資産になるか」を考えた場合、家電みたいな商材はネットショップではもうなかなか難しいですよね。金額が高く在庫リスクが大きいですし、インターネット上での価格競争も起っている、購入頻度が高い商材ではないのでマーケティングデータ分析をした上でのレコメンド・パーソナライズのアプローチもなかなかしづらいのかなと思います。お客さんの決定理由が価格であることが多いために、顧客リストの価値も強くないと思いますし。正直、機能もどんな違いがあるのかわかりずらいですしね。ここはメーカー側の努力が必要なのでしょうが。

 同じ型番というかタイトル、指名検索の商品でも、本やCDはまだまだ参入する余地があると思うんですよね。amazonが強い市場だと思うんですが、指名検索には対応できても、「こんな本読みたいなぁ」とか「●●に似ているバンドない?」とか、そういうことには十分対応できていないと思いますから。もちろん、レコメンドの仕組みはそのためにあるんでしょうが、それだけ本やCDを購入するのは、多少のギャンブルである気がします。実際に、ボーイズラブ系専門の書店さん、アイドル専門のDVD屋さんも売れているようですし、本やCDでもカテゴリでは分けきれないニッチな専門店化をすれば選ばれる可能性が高いわけです。お客さんの方から探してもらえるでしょうし、ニッチな市場ほど、お客さんのライフスタイルに深く根付いている可能性が高いので、リピートしてもらえる可能性も高い。趣味っていうものはそういうもんでしょう。

■まずは基本として4つのポイントを徹底して押さえる‥!

 ということで、ネットショップに参入する上で「どこに釣竿を垂らすか」考える際のポイントを4つ挙げてみました。

 「競合が少ないこと」「一定のお客さんがいること」「原価率が低いこと」「お客さんにリピートされること」どれも当然といえば当然ですが、このどれかを外してしまった時点で、いかにプロモーションを強化しても、サイトの写真を素敵にしても、システム効率が良くなっても、ネットショップとしては難しいかなと思います。なので、まずはここを基本として徹底的に押さえることが肝心です。

 10,000人のお客さんにサイトへ来ていただいて、100人のお客さんに買ってもらう、というような集客モデルの時代は終わったと思います。10,000人の部分は、10万人でも100万人でも1000万人でも良いですが、たくさんお客さんを集めてそのうちのいくらかの方に買っていただく、ということが難しくなったということです。ここには2つの意味があって、1つはインターネット上で人数をたくさん集めること自体が難しくなっていること、たくさん集めるコストに対する収益のバランスが変わってきているということ。この2つです。これからは1,000人のお客さんに来店してもらって、100人のお客さんに買ってもらう時代になります。よりニッチに、専門店化し、濃いお客さんに探してもらえること、もしくは能動的なアプローチをしてもコストと収益がバランスするくらい、セグメンテーションができていること。(最終的にはワントゥワンのネットショップになっていくのでしょうね)となるとやはり、そもそも「釣竿をどこに垂らすか」が重要なのでしょうね。

 「釣竿を垂らす場所」を100か所見つけて、100店舗のネットショップを運営できる。そんな企業がこれから伸びていくのではないかと思っています。まだまだ大手企業はインターネット上でも資本力で勝てているかと思いますが、どんどん競合は増えていきます。Amazonのような外資も参入してくるでしょう。横綱相撲で押し切る型だけではなく、中小のネットショップ戦略も大手だって学んでいかないとと思うのは、私だけでしょうか。まあ、あとは人材ですよね。人材育成。100パターンのセグメンテーションとそのネットショップをマネジメントできる人材をいかに育てるか、ここが勝負の分かれ目だと思います。ここはハッキリと。

 「これからネットショップに参入する場合『どこに釣竿を垂らすか』考えるポイントとは」おわり。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。