ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップに参入する場合『どこに釣竿を垂らすか』前編 【no.0036】

■「釣竿をどこに垂らすか」それを考えてみましょう‥!

 これからEC事業に参入しようという方、一度チャレンジして再チャレンジをしようという方、多いと思います。ネットショップというのは固定費が低く、参入障壁が低いので、これからも増え続けるのは間違いないです。営業しているのか、休業しているのかわからないような幽霊店舗・ゾンビ店舗も含め。

 すでに既存のビジネスで認知・知名度・ブランド力があり、インターネット上でも直接検索をしてもらえるような企業は別として、大方の企業については、いかにネットショップで売上を立てていくか、というのは大きな課題かと思います。やはり、これからネットショップに参入もしくはネットショップを再構築するために、「どんなお客さんにどんな商材・商品を売るか」ここをまず考えることが欠かせません。

 マーケティングプロモーションやデータ分析、バックヤードの効率を上げて経営を回していくのは後で、まず徹底的に考えるのは「セグメンテーション×商品」だと思います。これが、インターネットビジネスにおける「釣竿をどこに垂らすか」ということになると思います。そこで今回は、「セグメンテーション×商品」を考える際に、押さえておきたいポイントを書いてみます。順不同でいきます。ぜひ、検討材料に加えてください。

■当たり前だけど、やっぱり重要‥!

 まず1つ目。競合が少ないこと。

 インターネット上では競合が少ないほど、お客さんから選ばれる可能性が高くなります。当たり前ですよね。お客さんの対象が10,000人いたとして、競合が10社あるよりも5社しかない方が、お客さんに選ばれる可能性は倍になるわけです。ここはリアルビジネスと一緒で、地域に2店舗しかないスーパーの方が、地域に3店舗あるスーパーよりもお客さんに選ばれる可能性が高いです。

 ただし、インターネット上では、似たような商品を置いている場合、サービスがより良い特定のネットショップにお客さんが集中する可能性が高いです。ちょうど直接検索ができる商品についてはアマゾンに注文が集中するようにです。

 地域に3店舗のスーパーがあって、似たような商品を置いていて、似たようなサービスを展開していても、実店舗の場合は商圏が分かれていれば一定の顧客を確保することができます。ネットショップの特徴として、他店との比較が簡単、というところがあるからです。もちろんそれを打破するためには、「セグメンテーション×商品」ということになるのですが、ここではまず「競合が少ないこと」ということをポイントとして覚えてください。

■お客さんが「いるか、いないか」わからないは、NG‥!

 次に2つ目。一定数のお客さんがいること。

 競合が少ない、はOKですが、競合がいない、場合は検討が必要です。競合がいれば一定の需要があることが確認できるかもしれませんが、無い場合は確認ができません。もしかしたら他にチャレンジして、挫折してしまった人がいるかもしれません。本当に需要があるかアヤしいものは、「セグメンテーション×商品」としてのアイデアに入れないことをオススメします。選択肢として危険だからです。

 タンザニアの民芸品専門店というネットショップを作ったとします。タンザニア好きの方や、民芸品好きの方はいるかもしれませんが、両方ともニッチなのではないでしょうか。タンザニア×民芸品、という括りになるとニッチ過ぎて、「どこかにお客さんはいるだろうが、はっきり見えない」という状態になります。ここにかけるのは危険です。考え方としては、確実に一定のファンがいる層に、ニッチな切り口を持ってくる方が自然です。ニッチ×マスの切り口から考えた方が良いということです。

 タンザニア、という切り口から考えるならば、タンザニア×コーヒーとか、タンザニア×家具とか、から考えてみる。民芸品という切り口ならば、ハワイ×民芸品、バリ×民芸品などから考えていくべきでしょう。切り口はニッチ×ニッチで考えるより、ニッチ×マスで考えていく。そうすれば一定数以上のお客さんがいるはずです。

■こんな方法で一定数のお客さんがいるかを確認できます‥!

 一定数のお客さんがいること、という点を考える上で、参考になる方法は雑誌を見ることです。

 紀伊国屋書店やジュンク堂など、大きな書店にいくとたくさんの雑誌がおかれていると思います。雑誌の中身ではなく、タイトルを見るだけで大丈夫です。毎週発売されている雑誌もあれば、1か月に一度しか発売されない雑誌、隔月の雑誌、中には1年に一度しか発行されない雑誌もあると思います。それを見るのです。

 ネットショップは参入障壁が低く、固定費がかからないので、思い付きのコンセプトで出店することも可能でしょう。しかし、雑誌はそうはいきません。取材をする人や編集をする人など、必ず固定費がかかっているので、どんなマニアックな雑誌でも一定層のお客さんがいて、購入してもらえることを前提に発行をしていると思います。ここが切り口の参考になります。特に、1回きりで消え去ってしまった雑誌ではなく、年に一度しか発行されないが長年続いている雑誌などは、「一定数のお客さんがいる」ことの学びになるはずです。

 もう1つ。今度は、同一の雑誌を丸1年間、並べてみてみることです。丸1年を3年分くらい並べてみます。そうすると、一定期間を置いて何度も組まれている特集があるはずです。雑誌の売上は特集で決まる、と言います。定期的に組まれる企画であれば、そこに必ず「一定のお客さんがいる」ことになります。ぜひ参考にしてみてください。

続きはこちら。
「これからネットショップに参入する場合『どこに釣竿を垂らすか』考えるポイントとは」後編

 

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。