ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「アイデアをください」。七海さんの要求に、麻間さんは妙な返答をしました【no.0686】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「七海さん、アクセス数に少しずつ変化の兆しが見え始めていますね」

 おにぎり水産にやってきた麻間(あさま)さんが言いました。

「あー、麻間さん、先に言いたかったのにー。でも、ちゃんと見られているんですね。毎日の数字」

 七海さんは少しだけ怒ったふりをして言いました。

「当たり前じゃないですか。猪井氏(いいし)事務所では、担当しているクライアントさんのサイトと数字を毎日見るのがスケジュールに組み込まれていますから、毎日、毎朝、『笹かまオニギリ』のことはチェックしてるんですよ。それはそうと、この数字の変化、どうなさったんですか」

 麻間さんは、数字の動いた原因を知っているような、知らないような感じで七海さんに聞きました。

「はい。アクセス数なんですけども、1日30人くらいがネットショップにこられるほどに上がってきました。たしか、前回、麻間さんがおにぎり水産にこられたときは1日で多くても10人くらいだったんですよね。まだまだ少ないですが、伸びている感じです」

 七海さんは麻間さんに説明をしながら、「1日30人って、そんなに自慢するほどの数字じゃないよな」と気がつきました。自分が少しだけ恥ずかしくなりました。その雰囲気に気づいた麻間さんが言いました。

「いやいや、七海さん、10人が30人になったんですから、もっと胸を張ってくれていいんですよ。こういうのは、数字の大小ではなくて、アップ率、パーセンテージで効果を評価しなくてはいけません。七海さんがネットショップにお客様を集めるためにおこなった施策で、わずか2週間のうちに、アクセス数が300%アップしたってことじゃないですか」

 七海さんは麻間さんにフォローされて照れていました。気遣いのある表現も嬉しく思いました。

「『笹かまオニギリ』のネットショップは、実店舗の『笹かまオニギリ』に来店してくれたお客様だけを対象にしよう、というところから、まずは実店舗に来店されたお客さんに『笹かまオニギリ』のことを知ってもらうための施策からスタートしたんです。実行数値管理表に書いてあるとおりなんですけども、最初におこなったのがポスターです。実店舗に『笹かまオニギリネットショップオープン』のポスターを貼りました」

 麻間さんがウンウンと頷いています。「それで、それで」と七海さんの発言を促している感じでもありました。

「次にやったのが、チラシ配りです。実店舗担当の友花里にお願いして、笹かまオニギリで商品を購入したお客さん全員に、レジで『笹かまオニギリネットショップオープン』のチラシをお渡ししてもらいました。レジ袋や紙袋にチラシを入れてもらっています。店内ポスターとチラシ、このふたつをおこなったことが、ネットショップのアクセス数が増えたことに繋がっているのかなと思っています」

 麻間さんは七海さんの話を聞き終わると、パチパチパチと小さく拍手をしました。

「いい分析ですね。実行数値管理表を毎日付けてもらっている甲斐があります。アクセス数という『結果』と、ポスターとチラシという『原因』の関係を指摘してくれた、いい分析です。これからもそんな感じでいきましょうね」

 七海さんは「はい」と元気よく言いましたが、すぐに少し暗い表情になりました。

「それで、なんですけども。ポスターを貼って、チラシを配って、アクセス数が10人から30人に増えたんですけど、次に何をやればいいかってのがわからなくて。アイデアが思い浮かばないんですよね。麻間さん、アイデアをいただけませんか?」

 七海さんは質問をしました。すると、麻間さんは思いもよらない返答をしました。

「じゃあ、七海さん。いまの1日30人のアクセスを、同じようにポスターとチラシを活用して1日60人に増やしてください」

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。