ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング…ショッピングモールと自社サイト。どこでネットショップを構えるか。終章【no.0034】

 (前々回、前回のブログを読んでから、こちらをお読みください)
「ショッピングモールと自社サイト。どこでネットショップを構えるか、まとめてみる。」前編
「ショッピングモールと自社サイト。どこでネットショップを構えるか、まとめてみる。」後編

 「ショッピングモールと自社サイト。どこでネットショップを構えるか、まとめてみる。」終章です。

■現実的な問題は、口を最大に広げた後にクリアしていく‥!

 ネットショップ専業の会社の作戦として、口を最大に広げる方法を書きました。とにかく自社サイトとショッピングモールは全部出店する。重複コンテンツは無視。自社サイトは直接検索をして来店してくれるお客さんのみを対象にする。各ショッピングモールからお客さんに認知してもらう。まずは、この最大限売上がとれる方法をイメージしてから、現実的な課題であるネットショップ間の在庫連動、サイトのコンテンツの自動更新、マーケティング担当である店長を付けるか否か、を考えていく。どんなリスクを取って、どんなリターンを狙っていくかは経営者次第。Amazonのジェフ・ベソスがやっぱりすごいところは、「世界中の本を買えるようにしたらいいじゃん」みたいな、最大に売上をとれるイメージして、その最大のリターンを得るために、妥協なくリスクをとってるわけだからすごいよなー。リターンに到達するまでの、あの赤字、私には到底耐えることができません。アマゾンの話はいいとして、最大に口を空け、現実的な問題はそこからクリアしていく、と。

 この場合、各チャネルのネットショップの役割は各々で良くて、ショッピングモールに出店する店舗に関しては、最終的に自社サイトに流し込む、という戦略でも良い。というか、もし出来るならばその戦略が良いと思う。ショッピングモールはあくまで集客窓口、リピートは自社サイトでお願いしてもらう。そうなると、日々のショップ運営で試行錯誤しなくてはいけないことは、ショッピングモール内で如何にして店舗を見つけてもらうか利用していただくか、ショッピングモールでの利用者に自社サイトの存在を知ってもらうにはどうすれば良いか、どうやって自社サイトでリピートしてもらうか。このあたりになるということですね。ショッピングモール→自社サイトの流れは、モール出店企業のどの会社も苦労しているところだと思うんだけども、ショッピングモール側の店長と自社サイト側の店長がきちんとコミュニケーションをとって連動した戦略を立てられれば、少しずつできてくるとは思うのだが、どうだろうか。

■すでに母体となる事業を持っている会社はどうするか‥!?

 では、ネットショップ専業ではなく、実店舗を持っているとか、紙通販/カタログ通販を行っているとか、製造販売メーカーだったり卸だったりして、すでに母体となる事業を持っている場合はどうするか。お客さんがインターネット上で探すときに、会社名や特定の商品名、ブランド名で直接検索してくれる自信があるならば、自社サイトのみの出店で良いと思う。ショッピングモールに出店してるとなんだかブランド感が損なわれそうだし、直接検索されるならばショッピングモールの出店料とロイヤリティをわざわざ払う必要もないし、ショッピングモールで得た顧客リストは基本的に外で使うことはできないし(規定上は、ショッピングモールの顧客リストになる)、大きな予算を見込むならショッピングモールのシステムではなくて、日本IBMやec-beingなどの業務システムを組んだ方が良いし。でもやっぱり、googleの検索バーから直接検索でネットショップを探してもらえる会社ってのは、ユニクロとかナイキとかアップルとかコーチとか、ごくわずかでしょう。そう考えると、お客さんに知ってもらう機会を増やすためにも、自社サイトの他に、ショッピングモールでの店舗を持っておいた方が、保険になると言えるような気がします。

 でもやっぱり自社サイトの方が、という議論はもう5年前くらいからあって、未だに議論は終わってない。そこにあるのはショッピングモールへの依存という課題。当然、ショッピングモールに出店している会社は自社サイトも開設していることが多いんだけど、なかなかうまく自社サイトのアクセスが増えない、売上が増えない。自社サイトのネットショップのアクセスを増やすためには、ショッピングモールからの流し込みか(顧客リストを流用するわけではない)、google上の直接検索(もちろんYahoo!でも良い)を狙うか、商材に関する情報をくっつけて(ブログですよね)そこからの流入を狙うか、この3パターンのどれかしかないと思う。SEOとかリスティング広告とか、もちろんネット広告の活用って戦略はあるんだけど、ネット広告は基本的には資本がある側の選択肢になっているし、広告を使っての収益化が難しくなっていてさらに今後も加速すると思うので、ひとまず流入の狙いには入れないでおく。

 あとは、ネットショップの商品とコンセプトをより尖らせて、狭くても訴求力のある店舗をつくっていくこと。日々データをウォッチして、お客さんのセグメントをはっきりさせていくこと。ここは新規顧客獲得のためのコストの投下先を絞るのにも使える。このあたりをしっかりやる&しっかりできる人材育成をする、のが大切かなと。とにかく、今までは10,000人に来店してもらって100人に買ってもらえれば良い、というモデルが通用したけど、これからは500人に来店してもらって100人に買ってもらう、みたいなモデルになると思うので、顧客のセグメンテーションと店舗数、そしてそれを捌ける人材とシステムが重要になるのではないかと思うわけです。

「ショッピングモールと自社サイト。どこでネットショップを構えるか、まとめてみる。」終章おわり。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。