ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

マニュアルを変えてから、商品ページを変える。その「ひと手間」が大事【no.0885】

 仕事というものは、新しいチャンスを探す仕事と、それをみんなができるように標準化していく二種類があります。

 個人でネットショップをやっている場合は、自分で新しいチャンスを探し、自分の頭の中で理解し、次の仕事に活かしていけば良いのですが、多くの場合、そうはいきません。社員、アルバイトを交え数名から10名、20名といった形でネットショップを運営している会社も多くあります。

 新しいチャンスがルーチンの業務に入っていくように、自分でない他人に伝え、正しく動いてもらうための標準化をしなくてはいけません。そのために必要なのがマニュアルということになります。

 たとえばネットショップでのマニュアルづくりです。商品ページをリニューアルするとしましょう。

 お肉を販売しているネットショップだったとします。その中の商品のひとつがローストビーフです。これまでは商品ページにローストビーフの画像を1枚だけ表示して販売をしていました。しかし、これではなかなかお客様に伝わらない。商品ページを強化して、売上に繋げていくことを考えました。

 商品の物撮りは300px×300pxのサイズではなく、そもそも600px×400pxの画像の方がインパクトがありそうです。物撮りだけではなく、お皿に盛りつけたときの画像も欲しい。人が実際に食べている画像も欲しい。お客様からの声を集めたコンテンツも必要。レシピも1つか2つ載せてみたい。テレビや雑誌で紹介されたら、そのコンテンツも商品ページに追加したい。美味しい食べ方の紹介も必要だ。

 カイゼン案は様々出てくると思います。まずは、上記に上げたような商品ページのカイゼンを実際におこなってみることが大切です。そして、この最初の1ページ目をつくったら、次は他の商品ページ(たとえばソーセージ)のカイゼンに入るのではなく、ここで「マニュアル」づくりを挟みましょう。

 マニュアルの内容は、ローストビーフの商品ページのカイゼンを元にした「商品ページ作成マニュアル」です。ローストビーフやソーセージのページのどちらでも必ず載せるコンテンツ、ある条件(たとえば雑誌で紹介された)に足る場合に載せるコンテンツなど、商品ページカイゼンの整理をしていきます。フォント文字やサイズなども定義しておくと、「自分でない他の人」がやりやすくなります。

 このマニュアルを元にして、商品ページのカイゼンをおこなっていきます。最初にページをカイゼンしたローストビーフのページを真似るのではなく、あくまでマニュアルを軸にして商品ページを作成していきます。ここからは基点はマニュアルです。

 商品ページに新しいコンテンツを加える場合、特殊な個別の例を除いて、カイゼンをおこなうのは商品ページではなくマニュアルの方です。自分も隣の同僚も、その隣の同僚も、マニュアルを軸にして商品ページをカイゼンしていきます。隣の同僚がマニュアルに書いていない何かを商品ページに直接カイゼンした瞬間に、「マニュアル基点」は崩れます。マニュアルに載っていないカイゼンが、商品ページにあってはいけないのです。

 常に最新でなくてはいけないのは、ネットショップではなくマニュアルだということです。スタッフがそれぞれネットショップに「自分ルール」を当てはめていくと、「標準化」が無くなります。その結果、ネットショップのページにモレとミスが発生します。

 マニュアルを変えてからページを変えるのは面倒くさいですし、マニュアルより先にページを直したくなってしまうのが本音ですが、この「ひと手間」を徹底することで会社の仕組みが変わります。後から、わっけわかんなくならないように、コツコツが大事です。

 おわり。

 

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。