ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップでは、ほとんどの商品がひとりのお客様にも見られていない【no.0896】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

 日々のデータと改善施策の相関性をみていく「実行数値管理表」。自分たちの仮説を元に考えた具体施策を着実に進めるための「年間スケジュール」「月間スケジュール」。この3つのエクセルに加えて、麻間(あさま)さんが伝えたのは「商品販売実績管理」のエクセルでした。

 「実行数値管理表」は毎日書き込みをしていくエクセル。「年間スケジュール」は1ヵ月に1度、施策の進捗を確認したり、新しい課題が生まれたりするごとに更新を加えていくエクセル。「月間スケジュール」は毎月の最終週に翌月の施策の具体的な日時を決めるためのエクセル。そして、「商品販売実績管理」のエクセルは、ネットショップ「笹かまオニギリ」で販売している商品の個々の成果をみるためのエクセルです。

 七海さんと友花里さんは、「商品販売実績管理」エクセルについて、麻間さんから詳しい説明を受けましたが、その効果についてあまり理解が進みませんでした。麻間さんとしても、「商品販売実績管理」エクセルをつけていないうちから、その効果について理解を深めてもらうことは難しいと考えていました。なので、七海さんと友花里さんには、「とにかく取り組んでみましょう」ということで納得してもらい、七海さんと友花里さんも「やらないとその効果はわからない」と判断をしました。

「『商品販売実績管理』のエクセルをつけることによって感じてもらいたいのは、まずは商品ごとのアクセスです。いまネットショップでは100商品程度の商品が販売されています。また、『実行数値管理表』において日々のアクセスの合計は取得しているかと思います。では、日々のアクセスがどの商品によって構成されているか、七海さん、知っていますか?」

 麻間さんが「商品販売実績管理」の役割について説明をはじめました。七海さんは「いえ、さっぱりわかりません」と、素直にこたえました。

「おにぎり水産ネットショップの現在のアクセス人数は1日あたり500人くらいです。取り扱っている商品数は100商品くらいです。単純に500人÷100商品という計算をして、1商品あたり5人に見られているという平均値を出すことはできますが、現実にはこうなってはいません。しかも、もっともお客様に見られている商品ページが30人、もっとも見られていない商品ページが3ページ・・みたいなことも実はありません。実際はどういう構成になっているかというと、極端な話ですが、100人に見られている商品が4商品あり、残りの100人を残りの96商品が分け合っているというようになっています。そう考えると、ほとんどの商品がひとりのお客様にも見られていない、わけです」

 ほとんどの商品がひとりのお客様にも見られていない・・七海さんと友花里さんは衝撃を受けました。おにぎり水産のネットショップに掲載している100商品は、いわば「笹かまオニギリ」の実店舗でいえば、商品棚に並んでいるようなもの。お客様の目に全く触れないということはありえません。

「麻間さん、そんなことってあるんですか。実店舗に100商品並べてたら、絶対1日1回はお客様の目に触れるはずです。ほとんどの商品がひとりのお客様にも見られることなんかないというのは、物理的にありないことだと思います。だって、商品ページは存在しているわけじゃないですか」

 友花里さんが正当な理屈で反論をしました。それに被せるように、麻間さんはいいました。

「ここが、実店舗とネットショップの大きな違いなんですよ」

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。