ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

結果に疑問を抱く。結果の原因を探す。そして原因を作り出す。後編【no.0929】

 後編です。前回は、こちらから。

 初日にいきなり1,000個販売。予約注文は想像以上のスタートを切りました。

 二日目、800個販売。勢いは収まりません。

 三日目、600個販売。少しずつ、目標の3,500個が見えてきました。

 初日から予約注文に加速がついたのには理由がありました。これまでネットショップに問い合わせをくれた○○ファンのお客様に、予約注文に関するご連絡をしたのです。素直に、「3,500個の予約注文がないと、単独生産に踏み切れない。○○のファンの皆さんにぜひお伝えください」と連絡をしました。

 情報はインターネットを通じて、全国の○○のファンの方に拡散しました。○○(アーティスト名)のブログを書いているファンの方、twitterやfacebookをやっているファンの方、ファンはファンと繋がっているものです。情報が連鎖していきます。

 1人のお客様で3つ4つとまとめ買いをされる方が多かったことも、予約注文が伸びた理由のひとつでしょう。○○のファンの方が、ネットショッピングをやらない友人のためにとまとめ買いをしてくれたのでした。1個700円ほどのぬいぐるみです。ファン仲間のプレゼントに、という方も多かったのではないかと思います。

 単独生産の目標であった3,500個の予約注文は1週間もたたずに達成することができました。そして、注文受付期限の半月で、5,700個の予約注文を受けることができたわけです。これは本当に、○○のファンの皆さんのおかげだったと思います。

 さて、結果としてこのぬいぐるみ、最初の注文の700個と予約注文の5,700個、合計6,400個が売れたビッグヒットの商品になりました。

 たまたまこのぬいぐるみが「○○のファン」の方に見つけられ、たまたまインターネットで火がついただけなのかもしれません。そもそも、このネットショップで取り扱っていたのもたまたまです。そんな「たまたま」が結びついた結果なのですが、これは「単なるラッキー」なのでしょうか。

 おそらく、最初に700個、ぬいぐるみが売れたところまでは「単なるラッキー」だったのでしょう。たまたま取り扱っていたものが意図しない理由で売れていったわけですから、「運がよかった」という言葉が適していると思います。

 ただ、その次です。このぬいぐるみが売れた「理由」を探しだし、ニーズのボリュームを感じた上で、単独生産に踏み切った。インターネットを上手く活用して、短期間でたくさんの受注を得ることができた。これは「自分たちで原因を作り出した」といって良いのではないでしょうか。「たまたま」ではなく。

 きっかけはいつも「たまたま」です。今回ご紹介したケースでも、最初の700個が売れた段階で話しが終わっていた可能性もありえました。700個売れただけでも、売上としてはある意味十分です。普段の売上の完全な「上乗せ」であるわけですから。

 ただ、大切なのはその「たまたま」の裏側を読むこと、そしてその裏側から「再現性のある原因」を探すことではないでしょうか。「再現性のある原因」を見つけることができれば、「自分たちで原因を作り出す」ことができます。その積み重ねがビッグヒットを生み出していきます。

 ほとんどの話は「たまたま」で終わらせることができます。「たまたま」で終わらせた方が、話は楽です。ただ、その「たまたま」を「なんで?なんで?」と追い続けていけば、他との差は気づかないうちに開いていくことでしょう。

 おわり。

 

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。