ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップ担当者を採用する。育成する。【no.1104】

 良いネットショップ担当者を探している会社は多いと思う。

 しばしば聞かれる質問に、「ネットショップの担当者はどんな人がいいと思いますか?」というものがある。また、Eコマース事業に参入する際に、「どんな人をネットショップ担当として採用したらいいですか?」という質問を受けることもある。

 まず、前提として、「ネットショップ担当者」は採用の市場にはほとんど転がっていない。

 ネットショップの運営に携わっていたことがある、という方でも、WEBサイトの制作として関わっていた方やバックオフィス部門(コールセンターや物流)として関わっていた方が多い。または、ネットショップをサポートするソリューション側(システムや広告代理店、WEB制作会社)として関わっていたという方もいる。しかし、Eコマース事業を取り仕切ることができる、いわゆる「ネットショップ店長」というと、採用の市場にはほとんどいないと言わざるを得ない。

 理由はいくつかある。ひとつは、「ネットショップ店長(Eコマース責任者)」という人間の絶対数が少ないこと。ネットショップ運営チームでも、たったひとりの存在だから、絶対数自体が少ない。ひとつは、「ネットショップ店長」の経験者の多くは、大手のWEB関連会社に転職してしまうこと。全体感を押さえている「ネットショップ店長」は中小企業に多い。転職先がどうしても大手のWEB関連会社、もしくは大手のEコマース事業担当になってしまう。

 だから自社のスタッフを、Eコマース事業を回せる、ネットショップ1店舗を回せることができる「ネットショップ担当者」まで引き上げなければいけない。相当運が良くないと、ピンポイントでの採用は難しいと思います。

 ネットショップの運営に少しでも携わったことがある方、ネットショップのソリューションに関わっていた方、ネットショップではないけれど他の業界で実績を上げている方、ネットショップに興味があって意欲的な方、こんな人たちの中から「ネットショップ店長」としてEコマース事業の全体をみて、運営を回していける人を引き上げていかなくてはいけない。

 前職時代のネットショップ運営会社には、「ネットショップ店長」を担当できる人間が4人いた。比較的、多かった方だと思う。Eコマース事業専業の会社だったので、「ネットショップ店長」をやりたくて入社してくる人も多かったし、年齢も若かったので「できる限り裁量が欲しい」という人も多かった。ベンチャー企業だったので、出世とか年上の上司とか根回しとか、そういったしがらみだったり負うものもなく、とにかく「進め」だった。そういう文化だったのだ。

 もう7、8年前のことだろうか。前職の社長と食事にいったときに、「まこっちゃん、うちみたいな小さな会社に、なんで優秀な人が集まってくるかってわかる?」と聞かれたことがある。私は、「採用の方法がうんたら」とか「Eコマースという業態がどうたら」とか、それっぽいことをそれっぽく、わかった風に答えたのだが、社長の答えは思いのほかシンプルなものだった。「なんでかというと、会社が恵比寿にあるから」。

 会社が恵比寿だから―――。そのときは社長がそういった意味がわからなかったが、いまになって何となくわかるようになった。確かに、人財の確保はオフィスの場所に比例するのかもしれない。どんなに会社が苦しくなっても、恵比寿から会社を移さない、これは正しい。なぜならそれは、人財への投資のひとつになるからだ。

 おわり。

 

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。