ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

オンラインショップ運営を目標ベースでいくか、実績ベースでいくか【no.1128】

 オンラインショップ運営を目標ベースでいくか、実績ベースでいくか。みなさんのEC事業は、どちらの色が強いだろうか。

*目標ベースでオンラインショップの戦略を決める場合

 今年の12月に月商1,000万円に到達するという目標を立てたとする。12月に月商1,000万円という目標を決めると、現在の数字から達成指標を導くことができる。

 たとえば客単価が5,000円の場合、月商1,000万円を達成するには2,000件の注文が必要になる。仮に転換率が2.5%のオンラインショップならば、月間80,000人のアクセスが必要になる。もし現在の月商が500万円なら、単純に倍のアクセスと注文を集めなければいけない。

 40,000人のアクセス、1,000件の注文を上乗せするためにこれからどんな仕込みができるか。また、どんな販促やキャンペーンを打つことができるか。これらを考え実践することが、目標ベースでのオンラインショップ運営になる。

 目標ベースで運営を進めることにもリスクがある。

 ひとつは、まったく目標数字が見当違いだったことに途中で気づくこと。目標の存在が曖昧になってしまうことがあることがある。これは事業メンバー全体の士気にかかわる。もうひとつは、強引に目標ベースに合わせようとすること。配分するリソースに偏りが出たり、コストが増えたりしてしまう。見立てができないにも関わらず目標ベースで進むとリスクを抱えることになる。

*実績ベースでオンラインショップの戦略を決める場合

 逆に、安全なのは実績ベースで戦略を決めていくケースだろう。

 日々の実践と成果をチェックして改善点を探し、お客様の潜在的なニーズを探していく。成果に効く改善ポイントや潜在ニーズを見つけたら、そこを徹底的にたたく。そして広告投資をしてレバレッジをかけていく。結果、売上を上げていく。実績ベースの運営は、リスクが少ない一方ローリターンで進んでいくことが多い。ハイリターンを求めるならば、実績ベースのオンラインショップ運営をしない方がいい。

 もちろん、大切なのは目標ベースと実績ベースの目線の両方をバランス良く持つこと。日々の積み重ねという実績ベースの概念を土台として持つ。そして一方で、目標ベースに到達するために「何を足していくか」を考えていく。

*目標ベースでの進め方は実績ベースより難易度が高い

 オンラインショップの年間の売上目標が決まれば、月間の売上目標が決まる。月間の売上目標が決まると指標が決まる。目標達成のためにはアクセス数、注文数がどれくらい必要になるのか。客単価と転換率が上がればどれくらい目標に近づくことができるのか。目標ベースで大切なのは、数字が足りなかった場合に打ち手を足し続けられるかになる。

 ここでほとんどのオンラインショップが止まる。止まってしまうと、目標が目標でなくなる。目標が絶対的なものでなくなってしまったら、日々の仕事の選択理由が崩壊してしまう。一見すると、目標ベースの進め方のほうが正しいように思えるのだが、難易度は高い。

 目標ベースでいった結果、目標は達成できず、かつ日々の積み重ねもない。そんなオンラインショップも多いのではないだろうか。だとしたら、実績ベースでのオンラインショップ運営に切り替えた方がいいのかもしれない。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。