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きたれ女性と若者!競馬人気をまくり差せ!競艇場「売上アップ」マーケティング。十四【no.0682】

 きたれ女性と若者!競馬人気をまくり差せ!競艇場「売上アップ」マーケティング。(前回はこちら

お爺ちゃんの既存顧客をどれくらい増やせるか

 マーケティングの改善活動を進めていくにあたって、その軸になるのは「現在のお客さんがお客さんである理由」です。

 「自分たちが競艇場をこう変えていきたい!」という気持ちもあるでしょう。「自分たちの見られたい姿」と「自分たちの見られている姿」がきれいに重なるならば、それは努力の方向として申し分ないですが、仕事というものはこの「理想と現実」がきれいに重ならないから困っちゃうわけです。自分がやりたいことだけをやって、それで実績が伴うならば、それに越したことはないわけです。

 競艇場のマーケティングメンバーとしては「若い女性の新規顧客」が欲しい。しかし、現場には「若い女性の新規顧客」はほとんどおらず「お爺ちゃんの既存顧客」しかいない状態が続いている。理想は、「若い女性や若い男性の新規顧客で華々しく盛り上がる競艇場」を目指すことかもしれませんが、現実には「何回もリピートしてくれるお爺ちゃんの既存顧客をどれくらい増やせるか」の方が、成果を上げるためには近道です。

 ここは誰でもない競艇場のマーケティングチームが決めることです。もっと言えば、事業責任者が決めることです。ホテルなら支配人、雑誌なら編集長です。最後の決断は、「合議制」ではなく、「24時間事業のことを考えている代表者1人」が決めなくてはいけません。

お爺ちゃんの既存顧客をどれくらい増やせるか

 ここでマーケティングの軸として「若い女性の新規顧客」を選択したとしても、それは間違いではありません。

 ただ、現在の客層や施設の状況、運営習慣、組織体制を考えたときに、「若い女性の新規顧客」を対象にするには、現実的に「時間がかかる」のではないかと思います。長い時間をかけて改善を続けていけば、必ず「若い女性の新規顧客」は競艇場にやってきます。女性のタレントさんを起用した現在のボートレースのテレビCMも、(一見、あまり意味が無いように思えますが)10年、20年と続けていれば、落ち着くところに落ち着くはずです。

 なんですが、事業というのは有限なリソースによって回っているので、続けていくためには最低限事業を回すためのガソリンが必要になるんですね。つまり、売上と利益、です。ちょうど、地球が太陽の周りを公転しながら、地球自体も自転をしているように、長期的なビジネスモデル実現のための戦略を練りながらも(=公転)、日々の改善活動を回して売上と利益を確保(=自転)しなければいけないわけです。

将来そうなればいいなら、今結果を問われない

 どちらが欠けても、事業は終了です。日々の改善(=自転)が出来ていても、戦略(=公転)がなければどこか変な方向にいってしまいます。戦略(=公転)があっても、日々の改善(=自転)ができていなければ、戦略を遂行し続けることができません。まあ、個人的に「公転と自転」のどちらが大事かと問われれば、「圧倒的に自転の方が大事です」と答えますけどね。だって、将来のことって、「言うのは簡単」じゃないですか。なぜなら、それは「今」じゃなくていいので。将来の目標より、「今日の目標」の方が100倍大切です。

 現状のボートレースのテレビCMを担当している会社がどこだかは知りませんが、そういう点でいうと、「長期的に若い女性を獲得するためなんです!」といって営業をしているとしたら、私だったら即切りですね。将来そうなればいいなら、今結果を問われないんです。つまり「甘え」です。私だったら、「来週の開催の来場者数を1万人増やすための広告宣伝を打ちましょう」と提案してくる代理店に任せます。本当に1万人が来るかなんて極端な話どうでもいいんです。「因果関係」を検証できることが重要なのですから。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。