ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

インターネットビジネスの目標設定、予算設定について。二【no.0718】

インターネットビジネスの目標設定、予算設定について考えていきたいと思います。(前回はこちら

リアルビジネスの場合、事業をスタートする前のリサーチが非常に重要になりますが、インターネットビジネスの場合はそれほど重要ではありません。というより、「リサーチはできない」といった方が適格だと思います。

まず、インターネットビジネスの場合、立地という概念が希薄です。Eコマース事業をスタートするとすれば、ショッピングモールに出店するのが良いのか、独自ドメインで自社サイトを立ち上げるのが良いのか、くらいの選択肢があります。ショッピングモールに出店するならば、楽天市場が良いのかヤフーショッピングが良いのか、という選択肢があります。あえて「立地」と呼ぶならば、これくらいの違いです。

また、インターネットビジネスの場合、商圏という概念はありません。よくいわれるように、日本全国だけではなく、世界中がインターネット上では商圏になります。ただし、逆にいうと、ビジネスが商圏に守られているわけでもありません。北海道に住んでいるお客様が大阪のスーパーに買い物に出かけることはあまりないと思いますが、インターネット上であれば、北海道のお客様が大阪のお店で買い物をすることが容易です。商圏がないというのは、実はプラスでもあり、マイナスでもあるのです。

それでも、やはりインターネットでビジネスをおこなう際には、少なからずのマーケティングリサーチはおこなって損はありません。マーケティングリサーチによって「ビジネスのあり方」を決めるというよりも、マーケティングリサーチによって単純に「市場の状況を知る」という「情報」という意味で役に立ちます。「あー、ああゆうネットショップ(WEBサービス)もあるみたいね」という知識があることはそれはそれで重要なのです。

ただ、やっぱりそれによって「ビジネスのあり方」を決めてはいけません。立地や商圏が明確であるリアルビジネスでは「この地域にこういった特色のビジネスない(少ない)」という理屈で進んでいくことができますが、インターネットビジネスの場合は「インターネット上にこういった特色のビジネスはない(少ない)」という理屈だけで進んでいくことはできません。なぜなら極端にいえば、明日、自社が思っているインターネットビジネスがリリースされる可能性があるからです。

そう、インターネット上の競合の動きは実はほとんど見えないんですね。リアルビジネスであれば、商圏内を動いたり、公的機関にいって情報をみたり、場合によっては競合の店を利用したりして、「近い未来に何が起こりそうか」をなんとなく知ることができますが、インターネットの場合は、これが見えないのです。おまけに、リアルビジネスのような統計情報(外部データ)のようなものもない。なぜなら、グーグルもヤフーも、インターネットという世界は公的なものではないから、なのです。

ということで、インターネットビジネスの目標設定、予算設定は基本的に「自社の現在のデータ」を軸として、その数字を決めていくことになります。マーケティングリサーチというもの自体が存在しないに等しく、あくまで「自社のデータ」のカイゼンの繰り返し、が正しい方向です。ここはリアルビジネスを長くやられてきた会社は理解するのに少し苦労するところなのではないかと思います。「数字の理屈」を自分たちで作っていかなければいけないわけです。

なので、インターネットビジネスを始める際に、リアルビジネスと同様、まず「エビデンス」を求めようとするならば、ずっとインターネットビジネスに取り掛かれないということになります。あえていうならば、インターネットビジネスの「エビデンス」はPCDAを回しながらつくっていくものなのです。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。