ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

スマートデバイスが変える、看板広告の広告価値【no.0456】

(2014年12月のコラムリライトです)

 周りを見回しながら外を歩いていると、「貸看板」があるのを目にします。広告主がいなくなったのかな?「貸看板」の文字と「電話番号」が書かれているものが結構ありますよね。「ここに看板を出したい方は、こちらにお電話を」ということなのだと思います。

 看板広告の市場というのはどのようになっているのでしょうか。その業界に詳しい方、ぜひ教えていただければと思うのですが(info@ecmj.co.jpまでメールを)、広告料金が上がっている、ということは無さそうです。むしろ、広告費がインターネット広告に移動したり、不景気から広告の出稿自体をやめてしまったりした企業もあるでしょうから、「看板広告の価値は下がっている」と考えるのが一般的かもしれません。看板広告の市場だけではなく、広告という市場全体に言えそうなことでもあります。

 しかし、本当にそうなのか?というのが今回のテーマです。ここ最近になって、看板広告の広告価値は上がっているのではないかと考えています。ポイントはスマートフォンやタブレットなど、スマートデバイスの普及にあります。

 「財宝」。この看板を見たことがある方もいるのではないでしょうか。東京ドームのオーロラビジョンの横にデカデカと出ている、あの看板です。「セコムしてますか?」や「元気ハツラツ、オロナミンC!」など、一般的に誰もが知っている「ブランド」の広告の中、青バックに白抜きで「財宝」とだけ書かれた看板に、違和感を持った方も多いと思います。

 インターネットで検索した方も当然いるでしょう。あの「財宝」って、鹿児島に本社をもつ「ミネラルウォーター」を主に販売している会社さんなんですよね。あんなインパクトのある看板を見なければ、調べることもなかったかもしれない会社さんです。失礼な言い方で、すいません。でも、いまの看板広告って、「財宝」さんのようなマーケティングに使えるってことなんです。

 今までの看板広告はブランディング的な意味合いが強くありました。東京ドームに行って、球場中の広告を見てみてください。そのほとんどが、自分が生活をしてきた中でどこかで接してきた「ブランド」ばかりです。「ナショナルブランド」だったり、企業名だったり、どこかで触れたことがあるはずです。その「ブランド」のブランド力をより強くするために使うのが、看板広告だったんですね。

 そんな看板広告に、「調べさせる」という新しい価値を付与させたのが、「財宝」の看板広告というわけです。あの「財宝」の広告なんて、もしもスマートデバイスがない時代だったら、「なんだあれー、変な広告があるー、財宝なんて知らないや」で終わりです。まあ、あそこまでインパクトがある広告だと、「家に帰ったらパソコンで調べてみよう」率も高いのでしょうけれども。ここが重要です。

 そう考えると・・ついついインターネットで調べてしまったもの、いくつかありますよね。新幹線の窓から一瞬見えた、アレとかアレとか。スマートデバイスで「その場で調べさせる」というのは、リアルの広告における新しいマーケティング手法なわけです。「WEBで検索!」というような露骨なやつじゃなくて、「思わず検索したくなる」ものは、ですが。

 市場が衰退していると思われがちな貸看板の業界ですが、なんだかまだまだ利用価値があるような気がしませんか。活用の方法次第で、その広告価値が何倍にもなりそうです。それに、今までの看板広告は「定性的」な評価しかできないという課題がありましたが(リアルの広告は一般的にそう)、「調べさせる」を目的とすることで、計測できる指標ができ、「定量的」な評価ができるようになりそうです。「評価の定量化」ができると、当然ながら「データをとって、カイゼン」ができるようになります。もし、貸看板がデジタルになれば、「データをとって、毎日カイゼン」も可能です。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 8.Eコマースの集客

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。