ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットにうとい経営者に、ネットショップの事業計画をとおすには?【no.0856】

 先日、こんな質問をいただきました。

 会社の新規事業としてネットショップを提案している。何度も事業計画を練り直して社長に提案しているのだが、毎回突き返されています。どうしたら社長に提案が通るでしょうか。

 わかります。インターネットのマーケティング云々よりも、非常に本質的な悩みだと思います。同じような課題を抱えている会社は、実は多いのではないでしょうか。

 スタッフはインターネットの活用にもっと積極的になりたい。また、よりインターネットを活用しないと業界で生き残れないと感じている。しかし、社長(もしくは役員・経営層)がインターネットに警戒心がある。「ウチはそんなことやらなくていい!」という。スタッフにはより不安が増す。こんな状態。

 私も何度がこの手の相談を受けたことがあります。また、過去の経験から回答をします。

 まず、この手の社長に正面から理屈で当たっていくのは無理と思います。正当性のある事業計画をつくったとしても、それでも突き返されるでしょう。なぜなら、社長に判断基準がないからですね。その事業計画が真っ当なのか否かがわからないわけです。

 こういった社長の考え方を変えるには、「人からの影響」を与えるのがよさそうです。「人からの影響」にはいくつかパターンがあります。

 ひとつは、目上の方です。社長が尊敬している目上の方、直接的な知り合いではなくても実績を持っている方に意見してもらうと、社長の考え方がコロっと変わる可能性があります。「やっぱりこれからはインターネットの活用は必須だよ。●●さんのところではどうかね?」というような感じに、講演会なのか交流会なのか対談なのか様々ですが、いかに「影響を与える機会をつくれるか」を考えるのです。

 もうひとつは、友人経営者です。経営者というのは経営者と繋がっています。また、直接的に繋がっていない経営者の情報も友人経営者繋がりで入ってきます。「隣町のミカン農家の××さんのネットショップが月商▲▲00万円になったらしい」というような情報をキャッチすると、社長の考え方がコロっと変わる可能性があります。

 最後のパターンは、家族です。ひとつは社長の奥様(もしくは娘さん)が経理や事務などを担当されている場合。会社内では上司と部下の関係ですが、家庭に戻ると完全に立場が逆転していることがあります。奥様や娘さんに絶えず努力を伝えることで、家庭内で「あんなに頑張って事業計画つくってるんだから」と言ってもらうという方法です。もうひとつは社内に二代目(社長の息子)がいる場合です。二代目にインターネット事業を担いでもらうと、組織変化の流れとしてもスムーズになります。

 ということで、社長にネットショップの事業計画を通すための「人の影響」を使う方法をいくつか紹介しました。

 この中で、「友人経営者」からの情報で社長の考え方を変えてもらう、というのは他力本願の方法なので受動的に「待つ」しかありません。「奥様、娘さん、二代目」から影響を与えてもらう方法は、オーナー企業でない場合はなかなか難しいかと思います。そう考えると、能動的にアクションを起こすことができるのは最初に紹介をした「目上の方」と社長を当てるパターンです。

 社長より目上の方で、なおかつインターネットに理解が深い方をつくれるよう努力しましょう。意外と簡単に、コロっと考え方が変わる可能性もあります。社長も「自分が知らないこと」だから不安なだけなのです。

 「目上の方」ではありませんが、私で役に立つなら私が社長と情報交換をするので言ってくださいね。

 おわり。

 

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。