ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの「運営代行」と「全面バックアップ」の違いとは【no.0518】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「それって、『運営代行』じゃないんですか?」

 鬼切社長のツッコミを聞いて、猪井氏(いいし)先生はわざとらしく、呆れはてたような大きなため息をつきました。

「鬼切はん。ワシがここまで一生懸命説明したのに、鬼切はんは根本的なところがわかっとらん。鬼切はん、ネットショップの『運営代行』がどういうもんか、説明してみい」

 猪井氏先生は鬼切社長の方に手のひらを差し出して、「説明をくれくれ」と言わんばかりな態度で、鬼切社長に促しました。

「えーと、ネットショップの運営代行は、ネットショップ運営のためのスキルやノウハウのない会社のためのサービスだと思います。おにぎり水産のように自社オリジナルの商品を企画・製造できるけれども、インターネットを使ってどうやって売ったらわからない、そんな会社とタッグを組んで、ネットショップを成功させよう、という仕事ですね。ショッピングモールに出店する前の話ですが、実はおにぎり水産にもネットショップの運営代行業者からの営業があったんですよ。まだその頃はインターネット販売に積極的ではなかったので、お断りしましたが」

 猪井氏先生は不機嫌そうな目で鬼切社長の話を聞いていました。「全面バックアップと運営代行を一緒にするな」。そう言いたげな雰囲気をヒシヒシと感じます。

「ネットショップの『運営代行』ってそんな感じで考えていたのですが、違いましたでしょうか‥?」

 鬼切社長はこの妙な雰囲気を感じて、おそるおそる猪井氏先生に確認をしました。猪井氏先生は相変わらず不機嫌そうな目をしています。本当に怒っているようにも見えるし、鬼切社長を試しているようにも見えるし、鬼切社長をイジっているようにも見えます。

「鬼切はん。鬼切はんが言ってるネットショップの『運営代行』の仕事、間違ってへんよ。運営代行業者はそういう仕事するじゃろう。確かに『運営代行』も『全面バックアップ』もネットショップを成長させていくためのスキル面・ノウハウ面のフォローアップはする。しかしな、根本的なネットショップ運営の主軸が違うんじゃ。主軸が」

 猪井氏先生の言う「主軸」の意味がわからず。鬼切社長は少し固まってしまいました。「主軸、ですかぁ」。そうゆっくりと呟きながら。

「鬼切はん、ええか。『運営代行』のネットショップ運営の主軸は、運営代行業者にある。おにぎり水産が運営代行業者と契約をした場合、商品の提供・在庫の管理・物流作業・お問い合わせへの対応、これがおにぎり水産の仕事じゃ。運営代行業者は、おにぎり水産の商品を売るためのネットショップを開設してくれ、商品を売るためのページを作ってくれ、インターネットの広告の選定を行ってくれる。そして、お客様からの注文を集計して、おにぎり水産に商品発送のリストを出してくれる。これが『運営代行』じゃ。あくまで、インターネット販売の主軸は運営代行業者にあるわけじゃ」

「はい。そこはわかります。ネットショップを立ち上げてくれて、商品の画像を取ってくれたり、商品の説明文を書いてくれたりしますし、インターネット広告のノウハウもたくさん持っていますから、広告費を無駄に使うこともありませんし、いいサービスですよね」

「ホンマか?」

 猪井氏先生が鬼切社長の方をギロっと睨みました。

「ホンマのホンマのホンマのホンマか?」

 先ほどと同じ不機嫌そうな目で、猪井氏先生は鬼切社長のことを攻めたててきます。鬼切社長はこの雰囲気に押されまくり、気持ち椅子の背もたれに寄りかかるような体制になりました。

「だって、おにぎり水産としては良い商品を企画して注文を待っていればいいわけですから。いいサービスだと思うんですが・・」

「ばかもん!!!」

 猪井氏先生が今日一番の大声で叫びました。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。