ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの数が何倍になっても、お客様の数は増えない。【no.0094】

■プレーヤーが増えるのは、間違いない‥!

 いよいよ年の瀬という感じになってきました。昨日が忘年会、来週の月曜日は祝日ですし、あと3-4営業日追い込みをかければ、2013年の仕事も無事終了、という会社さんも多いのではないでしょうか。今回は、2014年のEC市場について書きたいと思います。

 インターネットの世界は非常に流れが早いので、2014年の間にどのくらい前に進むかわかりませんが、まず100パーセント間違いないのは、ネットのプレーヤーが増えることだと思います。特にネットショップについては、Yahoo!ショッピングの無料化に伴いネットショップをスタートする法人・個人が本格的に運用をスタートしますし、LINEモールもスタートします。ZOZOタウンを運営するスタートトゥデイのゾゾマーケットも始まりますしね。Yahoo!ショッピングの新システムの開発状況にもよりますが、来年の3月~5月くらいにかけて、一気に市場が活性化するのではないでしょうか。

■プレーヤーは増えても、お客様は簡単に増えない‥!

 ネットショップの数が増え、商品の数が増えます。供給側が一気に増えてくるわけです。そうなると、目先的に高騰していくのが、広告費になると思います。特に、スタンダートな広告費であるSEO対策とリスティング広告については、さらに採算が取れなくなる可能性があります。戦略性のない広告出稿や、数字での成果検証ができていなければ、もちろんアウト。お客様のサイト内での回遊・行動や、購入いただいてからの成長率、それに対する商品や対策キーワードなどを細かく分析しても、ペイしなくなる場合も多くなると思います。ユニークユーザを効率的に取りに行く、という発想自体が崩壊しつつある気がしますね。

 プレーヤーの数は無限に増えていきますが、お客様の数はすぐには増えていきません。Yahoo!ショッピングの出店数は4倍以上になるかもしれませんが、お客様の数がすぐに4倍になるわけではありません。Eコマースへの参入障壁はより下がったものの、成功へのハードルはより上がったということになりますよね。しかも、日本はこれから人口が減っていきます。だから、海外に商圏を伸ばしましょうみたいな少し現実的でない話はここではしません。大多数のプレーヤーにとって、市場は日本だけでしょう。唯一救いがあるとすれば、人口は半分の6,000万人になるが、ネットのサービスを利用する人はひたすら100パーセントに近づいていくだろう、ということでしょうか。

■まずはどんなお客様にとってのナンバーワンになれるか‥!

 つまり、ネットショップをつくっても既存のやり方では人はこない、ということです。もちろん、広告費をかけてもペイしない、という意味も含みます。一部の大企業や特別な商材を扱っているウェブサイト以外は、同じ悩みを抱えることになるでしょう。実は2010年ごろからこのような症状は出ていたと思うのですが、2014年は本気で取り組まなければいけなくなる年になるだろうということですね。

 取るべき対策としては、まず自分達のお客様像を再定義することになると思います。つまり、絞るということです。企業の規模に合わせて、どんな課題を抱えるお客様に対してナンバーワンのネットショップになれるかを考えていかなければいけません。そして、集客です。広告主体ではどうしても限界があります。1人1人、目の前にいるお客様をフォロワー、ファンとして獲得していく、いかに共感をしていただけるかが重要になってきます。

 お金をかけて人を集めるのではなく、サービスに共感してもらうことで人を集める。いわゆる、オウンドメディアの構築、コンテンツマーケティングと呼ばれるものです。広告をかけて商品を提案という「モノ」主導のマーケティングではなく、ライフスタイルを提案し共感するお客様にシェアしてもらう「コト」主導のマーケティングに変わっていく。そのスタートが2014年になるのではないでしょうか。

 

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。