ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの運営にかかるお金の話。【no.0230】

 イーコマース事業を展開していくとき、やはり気になるのは資金だと思います。ごく一部のブランドのある企業を除いて、ほとんどの企業は売上ゼロからのネットショップのスタートです。月々どれくらいの経費がかかるのか、またどれくらいの経費をかけるのが適正なのか、気になるところだと思います。イーコマース事業を回していくときに必要なお金について書いていきたいと思います。

*商品原価
 まずネットショップで商品を販売した際にかかるのが、商品の原価です。小売りのネットショップであれば、販売価格の40%~70%で商品を仕入れている会社が多いと思います。製造メーカーがインターネットで直販をする場合は、販売価格の20%~50%程度が商品原価になることが多いでしょうか。美容・健康食品系の商品になると、販売価格に対しての商品原価が10%を切るようなところもありますね。やはり、メーカーが直販のノウハウをしっかり構築すれば、小売りが立ち向かうのは容易ではありません。

*システム利用料
 楽天市場などのショッピングモールに出店している場合、月々の出店料金と売上毎のロイヤルティがかかります。Yahoo!ショッピングがこの出店料金とロイヤルティを共に無料にしたのは有名ですね。ショッピングカートASPをレンタルして自社サイトで出店する場合、月々の出店費用がかかることが多いです。出店料金は月々0円~50,000円くらい。売上毎にかかるロイヤルティは5%程度。また、お客様がクレジットカード決済を利用した場合の料率が3.5%程度かかることになります。

*物流費
 物流費は、お客様から注文後にかかるお金です。配送業者に支払う配送料。ダンボールやプチプチ、納品書など商品を送る際の梱包資材費。物流作業をアルバイトさんにお願いする場合は、アルバイト人件費。宅配便での発送かメール便で発送ができるか、通常便での配送かクール便での配送か、など商材によってかかるコストが異なりますが、1件あたりの発送費は大方800円~1,500円といったところではないでしょうか。配送業者との契約によってもかなり上下すると思います。

*固定費
 大きなところで、オフィスの賃料とイーコマース事業にかけている人員のお金ということになります。初めからネットショップ専任のスタッフを付けた場合、25万円~40万円がデフォルトの固定費としてかかることになります。売上ゼロの中での難しい選択にはなりますが、できるだけ専任に近い形でイーコマースに取り組むのが良いと思います。競合他店が専任をつけている場合は特にです。兼任でのスタートになってしまう場合は、責任の所在だけはきちんとしておくのが良いですね。

*広告費
 インターネット広告にかけるお金はネットショップによってまちまちです。基本的に広告を使わない、というネットショップもあれば、毎月売上の50%以上を広告費として使っているというネットショップもあります。ボリュームとして多いのは、月商に対して5%~15%の広告費をかけているネットショップでしょうか。個人的な意見とすれば、「過剰に広告費をかけなければいけない」もしくは「広告費をかけ続けなければいけない」モデルのネットショップは中長期的に厳しいと思います。インターネットビジネスのプレーヤーはこれからも増え続けますし、それにつれて広告費は高騰していきますから。弊社のコンサルティングは「広告を使わない」ところから考えていきます。

 ということで、ネットショップにかかる経費について、金額が多い5つの項目をご紹介しました。しかし、売上からこの5つの項目を引いて、それが完全な利益、とは残念ながらなりません。ここでは触れていない「在庫」という悪の化身がバレないように身を潜めています。在庫にはくれぐれもご注意ください。利益がさっくり吹き飛びます。

 おわり。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。