ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ビールの売り子が「データベースマーケティングを活用して」野球場で最大の売上を上げるには?終【no.0022】

(前々回、前回のブログを読んでから、こちらをお読みください。)
ビールの売り子を使って、野球場でビールの最大の売上を上げるには?前編
ビールの売り子を使って、野球場でビールの最大の売上を上げるには?後編

「ビールの売り子を使って、野球場でビールの最大の売上を上げるには?終章」です。

■優秀な売り子さんのノウハウをみんなで共有できるカタチに‥!

 試合×注文×座席×売り子データを分析していけば、当日の試合展開とお客さんの特性に合わせたサービスがどんどん生まれてくるかと思います。つまり、データを活用することでビールの売り子さんの動きが、1to1に近づいていくこと、過去の統計に裏付けられた行動に結びついていくこと、これを実現することができるわけです。これは実は、優秀な売り子さんが自らの頭で考え、「自然に」実行できていることでもあったりします。要領のよい売り子さんであれば、「あのお客さんはあと10分で飲み終わりそうだ」とか、「4人組のサラリーマンだから販売の効率が良さそうだ」とか、「試合展開でリードしているチームのファンに向けて売っていこう」とか、独自のノウハウを持っているはずです。それを客観的なデータと組み合わせて、売り子さんみんなが容易に理解できるノウハウまで落としただけなのです。

 そして最も大切なのは、試合×注文×座席×売り子データから生まれた仮説が、実行された後に、現実に成果に結びついているかをチェックしていくことです。もちろん、一番気にしなければいけない数字は、ビールの全体の売上。全体の売上は、各売り子さんの売上の合計ですから、各売り子さんの売上も毎回チェックするべき数字になります。そして、各売り子さんがその試合での販売行動に役立てたマーケティングデータ、これも成果を判断するための重要な資料になるでしょう。その3つを毎試合毎試合チェックして、成果が上がった理由は何なのか?成果が上がらなかった理由は何なのか?を検証していかなくてはなりません。試合×注文×座席×売り子のデータから仮説は無限に導き出すことができますが、そのすべてを同時に実行することはできません。ある程度当たりを予測して、優先順位順に実行していくわけです。正確な判断は「客観的」なデータに任せ、検討していくのが良いでしょうね。何をしたら良さそうか、のアイデアは「主観的」な勘と「客観的」なデータから予測し仮説を立てていきます。何が結果に効いているか、は「客観的」なデータから判断していくのです。この繰り返しがマーケティング活動というものでしょう。

■大切なのはオペレーションにいかに落とし込むか‥!

 さあ、ここまで来たところで、本質的な課題に行きつきます。試合×注文×座席×売り子データを取得するシステム、それを加工しマーケティングデータとして集計と抽出するシステムを作ったとして、オペレーションに落とし込むのは誰がやるか、ということです。従来であれば、球団本部の人間や外部のコンサルタントが、マーケティングデータを見ながら仮説を立てていったことでしょう。もちろん、その方が早いですし、正確ですし、なんだか成果に結びつきそうな気がします。しかしながら、実際に現場で実行するのはビールの売り子さん達です。その売り子さん達が、マーケティングデータと、刻一刻と変わる現場の状況に合わせて、自ら判断して行動を変えていくことができたら、さらに成果がアップすると思いませんか?マーケティングデータだけではない、現場の機転を付け加えることで、また新しい販売のセオリーが生まれてくるはずです。となると、本質的な課題の解決策は、ビールの売り子さんへの教育・人材育成ということになります。

 試合×注文×座席×売り子のデータがあること。マーケティングデータが確認できること。そこから仮説が用意できること。その仮説の実行や創意工夫から、新しいデータが取得でき、さらにマーケティングが前進すること。これをビールの売り子さんの新人研修として組み込めばいいだけです。できれば、通常の出勤よりも1時間早く来てもらい、習慣として身につくまで何度か研修をするのが良いですね。時給1,000円、売り子さんが50人、1人あたり10日間の研修をするとして、研修費用は50万円ですから、その効果を考えれば大した金額ではないでしょう。人材育成は広告投資などと違って、かけ続けなければいけない費用ではないですしね。育って、自ら走り出してくれるところまで引っ張ってあげれば良いのです。また、先輩後輩のノウハウ共有の場も必要ですね。すごくシンプルな方法は、最も売っている売り子さんのノウハウを全て出してもらい、それを全体に共有することです。全てが全て最初からみんが実行できるわけはないですが、1つでも徹底できれば、必ず成果に繋がるはずです。あと、売り子さん50人に改善案をどんどん出してもらうこと。「どの銘柄のビールを飲んでるかがわかるようにコップの色を変えたら良さそう」とか、「MEGAビールという商品を企画して、より効率的に売上をとれるようにしよう」とか、いろいろ出てくるはずです。

■もっと楽しく、もっとわかりやすく成果をあげよう‥!

 今回「ビールの売り子を使って、野球場でビールの最大の売上を上げるには?」というテーマで書いてみました。ここで書いた仕組みを導入することによって、ビールの売り子さんが嫌がるってことはないと思うんですよね。もちろん、最初は面倒がるでしょう。でも、最終的には納得し、自発的に意見&行動をしてくれるはずです。なぜなら「自分の出来高が上がる」から。そして、データを活用することで「よりわかりやすく成果を上げられる」ことに気づくからです。ここまでやる必要ないんじゃないかな~とも思いますが、ここまでやる事業だけがこれからは生き残っていくのではないかとも思います。とはいえ、現状のビールの売り子さんはジャラジャラお金を手で扱っている状態なので、あんまり管理されてないんでしょうね。管理が甘いというべきなのか、それだけ儲かっているから細かいことを気にしていないのか。万が一、こちらのブログを読まれた12球団の方がいれば、ぜひご連絡を。仕組みの提案から売り子さんの人材育成まで、マルっと請け負わせていただきます。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 7.Eコマースのひと工夫

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。