ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

売上と利益、だけじゃない!BtoB企業におけるネットショップの活かし方【no.0815】

 今年の始めから一緒にお仕事をさせてもらっている浅草の靴屋さんがあります。

 ベースは靴の製造メーカーです。国内の大手スーパー、大手アパレルショップ向けに靴の企画・製造をおこなっています。つまり、BtoBがベースの会社です。自社のオリジナルブランドの立ち上げを契機に、ネットショップをスタートされています。ネットショップを販売チャネルの起点として、BtoCも新しい事業の柱に育てていこうということです。

 先日のミーティング後、こちらの会社の部長さんとお昼を食べているときに、ハッとする言葉をもらいました。「ネットショップを運営していてわかったことを、法人営業にバリバリ役立てていますよ」。そんな言葉でした。

 ネットショップで気づいた知識、市場の感覚が法人営業にも役に立っている。よく考えれば当たり前のことかもしれませんが、BtoBをベースに事業をしている製造メーカーの会社にとって、「お客様の声を直接聞くことができる」というのは大きな強みのひとつになるのではないでしょうか。

 製造メーカーの会社がネットショップをやることで、BtoCとしての新しい売上が会社にプラスオンされます。BtoBで商品を販売するのと、BtoCで商品を販売するのとでは利益率も大きく異なるはずです。「売上と利益」を目的にEコマース事業をおこなうのは、ひとつの流れです。

 製造メーカーの会社にとって、もうひとつの重要な流れ。それは、この部長さんが改めて気づかせてくれた「お客様の声を直接聞くことができる」ということです。やはり、間接的に入ってくる情報には何かしらのバイアスがかかっています。ポジティブな情報だけが上がってきて、ネガティブな情報はどこかで排除されているというパターンはよくあるところだと思います。

 お客様に対して「直販」をおこなうと、お客様の声を直接聞くことができるようになります。しかも、ネットショップで直販をおこなうことで「お客様からいただくレビュー(感想)」という定性的なものもそうですし、「データ」という定量的な情報も得ることができるようになります。これが製造メーカーの会社にとって大きな武器になります。

 ネットショップで直販をおこない、市場の定性的な情報と定量的な情報を保有していると、発注と受注の立場が逆転する可能性すらあります。逆転までいかなくても、より対等な形で商品企画を切磋琢磨していくことができるでしょう。発注側の提案したものをただ単につくるだけではなく、受注側からの企画提案ができるようになるわけですから。

 より付加価値があり、「選ばれる」製造メーカーに成長できるのは間違いありません。一見するとネットショップに関係がなさそうな会社でもインターネットを活用することで企業価値、商品価値を上げていくことができる例です。すべての会社がインターネットを「活用した方が良い」時代に入っているということです。

 すぐにネットショップを運営するのが難しければブログを開設することから始めても構いません。インターネットで定期的に情報を発信してその成果を定期的にデータで検証し、「客観的で定量的」なお客様の反応を情報として蓄積していきましょう。たとえ中小零細の企業でも、インターネットを活用することで市場の変化とお客様の変化の情報を得ることができます。

 「インターネットなんかウチには関係ない」ということはありません。むしろ、インターネットを使わなくても実績が出ている会社ほど、インターネットを活用する価値があります。インターネットは「強者の武器」です。

 おわり。

 

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。