ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

売上目標と達成指標の考え方。「顧客軸」での目標設定とは!?【no.0635】

 売上目標とその指標の立て方について、もっといい方法があるのではないかと、最近思い始めています。

*売上=アクセス人数×転換率(コンバージョン)×客単価

 Eコマース(ネットショップ)だとよくいわれるのが、「売上=アクセス人数×転換率(コンバージョン)×客単価」という計算式です。売上目標が月商500万円だとします。アクセス人数が100万人、転換率(コンバージョン)が5%、客単価が1万円であれば、月商500万円が達成できます。

 仮に、前月の売上が月商400万円、アクセス人数が100万人、転換率(コンバージョン)が4%、客単価が1万円だったとしたら、「転換率(コンバージョン)を1%上げるにはどうすればいいかね」というのが目標売上月商500万円時の課題ということになります。もちろん、転換率(コンバージョン)を1%上げるのを狙わず、アクセス人数を25%アップさせ、125万人にするというのも手です。

*「今月は何をどれくらい売る」を目標にする方法

 もうひとつの考え方です。「何をどれくらい売る」と定義をしてしまう、売上目標と指標の立て方です。例えば、ジュエリーショップをやっていたとします。これは実店舗でもEコマースでもどちらでもOKです。わかりやすくするために、取扱商品を絞ると、このジュエリーショップにはネックレス、ピアス、リング(指輪)、ブレスレットという商材があります。この4種類について、「今月は何をどれくらい売る」と目標設定をしていく方法です。

 例えば、今月はネックレスを15本売る(10万円×15本=150万円)、ピアスを30セット売る(5万円×30セット=150万円)、リングを5本売る(3万円×5本=150万円)、ブレスレットを5本売る(10万円×5本=50万円)。これを合計して、売上目標が月商500万円になる、という計算です。この目標により各自スタッフが、ネックレス15本、ピアス30セット、リング5本、ブレスレット5本を売るために動くというわけです。

 このふたつの売上目標の設定の仕方の他に、第三の方法として「顧客軸」で売上目標と指標を設定する方法があるのではないかと考えました。

*「顧客軸」での売上目標と指標を設定する方法とは

 先のジュエリーショップの例を取ります。ネックレス15本、ピアス30セット、リング5本、ブレスレット5本という目標を設定すると、これは商品軸の目標です。お客様は、ネックレスを1本、リングを1本、ブレスレットを1本・・というように、「15+30+5+5=55人」が1人1つずつ商品を購入するわけではありません。ネックレス1本を購入するお客様もいれば、ネックレスとピアスとリングを1つずつ購入していくお客様もいます。

 「顧客軸」で目標を立てるということは、「ネックレス1本、ピアス1セット、リング1本を購入するお客様を2名獲得する」「ネックレス1本、ピアス1セットを購入するお客様を8名獲得する」「ブレスレット1本を購入するお客様を3名獲得する」というように売上目標と指標を立てていく、ということです。この方法は、ジュエリーや不動産、車など、高額の商品を扱うビジネスには特に使える方法だと思います。

*お客様のサービス利用がよりクリアになる

 「顧客軸」で売上目標と指標を立て、実際の成果を検証することによって、お客様がどのような形で自社のサービスを利用しているかがクリアになります。想像していた指標と違った結果が出るはずです。また、想定していた購入方法を選んでくれたお客様は「どんな方なのか?」のイメージが固まっていきます。同じ購入パターンを同じようなお客様に提案することができるようになるわけです。

 「ネックレス15本、ピアス30セット、リング5本、ブレスレット5本売る」という目標よりも、「ネックレス1本、ピアス1セット、リング1本を購入するお客様を2名獲得する」「ネックレス1本、ピアス1セットを購入するお客様を8名獲得する」「ブレスレット1本を購入するお客様を3名獲得する」の方が、「今月自分が何をすればいいのか?」がわかりやすくなるような気がしませんか?

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 5.Eコマースの分析

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。