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引越し屋と「ももクロ」にみた、具体的・定量的なお辞儀の指導。【no.0508】

 先日の「引越し屋さんってすげーー」ブログの話の最後で少し触れたお辞儀の話。

 引越し屋さんの見積をとって、その場で引越し屋さんの業界についていろいろ聞き出し、結局その引越し屋さんにその場で引越し作業を依頼し、「ありがとうございました」ということで玄関を出た営業さんを、ドアの覗き穴越しに見ていたら、深々と、しかも正味5秒くらいドアに向かってお辞儀をしていた、という話。そして、エレベーターに乗り込む直前にも、うちのドアに向かって2秒くらいのお辞儀をしていたという話。引越し業界の話よりも、私はこれに驚きました。

 覗き穴から覗いていた。なんて、なんだかいやらしい話ですいません。営業さんにとっては、その場で受注を取れたわけですから、ドアを閉めた瞬間、安堵の表情になるとか、軽くガッツポーズでもするのかなと思っていたのです。仮に、実際にガッツポーズをしたとしても、私は怒る気はさらさらありませんでした。「良かったね」と心の中で思うくらいです。

 で、この営業さんがやっていた「長いお辞儀」のことを考えていたら、ももいろクローバーZのことを思い出しました。「ももクロ」のことはさすがに知らない人はいないでしょう。芸能事務所・スターダストプロモーションに所属する5人組のアイドルです。この「ももクロ」のライブ映像を見たことがある方、もしかしたらそんなにいないかもしれません。いや、めちゃくちゃ見てるよ、という方もいると思います。私も何回か見たことがあるのですが、彼女たち「お辞儀」が異常に長いんですね。

 テレビなどで見たことがある方が多いと思いますが、「ももクロ」が「週末ヒロイン、ももいろクローバーZ!」というお決まりの台詞を言うんですね。続いて「お願いしまーす」と言いながら、深々と頭を下げるんです。ライブにきている観客のみなさんは、「おー生のももクロだ。あの台詞だ」ということで、そこで「ワ~!」と盛り上げるんですが、「ももクロ」の5人はお辞儀をしたまま、なかなか頭を上げないんですね。そして、その「ワ~!」という声がなくなった頃、やっと頭を上げます。

 時間にして7秒から10秒くらいでしょうか。観客のみなさんの「ワ~!」と、「ももクロ」が頭を上げるまでの「一瞬の静寂」はたった2秒か3秒なんですが、この一瞬の間が「うわー、この子たちプロのアイドルだな」ということを感じさせるんです。

 あの引越し屋の営業さんも「ももクロ」もそうですが、5秒以上お辞儀をすることは「意識をしていなければ」とてもじゃないけれどできるものはありません。試しにみなさんも、5秒間お辞儀をしてみてください。普段、仕事で取引先と打ち合わせをしたときにしているお辞儀よりも、はるか永遠の時間が流れるはずです。「うわ~、なげぇ~」と。

 「玄関を出たら、ドアに向かって深々と長めのお辞儀をすること」「観客のみなさんへの挨拶が終わったら、深々と長めのお辞儀をすること」。このような指導では、「5秒以上」のお辞儀ができるようにはなりません。「深々とお辞儀をして、頭の中で7秒数えてから頭を上げること」。ここまで指導していないと、「5秒以上」のお辞儀をするようにはなりません。おそらく、あの営業さんも「ももクロ」も、上司の指導・会社としての指導方針が「徹底している」ということでしょう。

 徹底は「より具体的に、できれば定量的に」が基本です。「深々と長めのお辞儀」という指導では、「深々」と「長め」について個人個人の判断にバラつきが出ます。身体の傾斜「45度」を深々と思う人もいれば、「60度」を深々と思う人もいます。「長め」についても同じことが言えるでしょう。そう考えると、「ももクロ」の「深々」については、「髪が床につくまで」というように、具体的な指導がなされているのでしょうね。

 おわり。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。