ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

昔話風、でもない「市場拡大理論」。【no.0234】

むかーしむかし。もう15年くらい前のことじゃったー。

インターネットの上にできたばかりのショッピングモールの中に、レディースファッションのネットショップがあったそうなー。

そのレディースファッションのネットショップには、トップスもスカートもパンツも靴下もスーツもアクセサリーも、女性が身に着けるありとあらゆるアイテムが揃っていたそうなー。

ショッピングモールに初めてできたそのレディースファッションのネットショップには、初めはちょろちょろお客さんがくる程度じゃったが、ショッピングモールの存在を知ったお客さんが次第にぞろぞろと来るようになったそうなー。

そのレディースファッションのネットショップはボロ儲けじゃったー。トップスやスカートやパンツや靴下が欲しいありとあらゆる女性がたった一つのショップに集まるのだから、ショップは売り切れの商品が続出。どんどんアイテムと在庫を増やして、ショップを拡大させていったそうなー。

ショッピングモールへの出店を決断した、そのレディースファッションのネットショップのオーナーは億万長者になったとさー。

どんな商売でも、儲け話を聞きつける人がおる。ショッピングモールの儲け話もやがて人が知るところになり、レディースファッションのネットショップが2店舗目、3店舗目と増えていったそうなー。

そうなると、レディースファッションの全体の売上をネットショップの数で割るような感じになっていきよる。一番最初のネットショップについていたお客さんも、少しずつ他のネットショップに流れていきよった。それでも、ショッピングモールの存在を知ってアクセスするお客さんがべらぼうに増えていたから、ほとんどのネットショップも儲かっていたそうなー。

ショッピングモールに出店したレディースファッションのネットショップのちょうど100店舗目くらいだったろうかー。そいつらはな、最初から自分たちが100店舗目だゆうことに気づいておったそうなー。先行組に勝つのは難しいと気づいていたんじゃな。

ほんで、そいつらどうしたかというと、ギャル系専門のネットショップを作りおったそうなー。

レディースファッションのネットショップは100店舗以上あっても、ギャル系専門のネットショップはそいつらのネットショップ1つだけだからな、ギャル系のアイテムが欲しいお客さんはそのショップだけを選んだそうなー。

でも、これもすぐに真似られたそうなー。ギャル系専門のネットショップの2番手3番手が出てきたらしくてな、こいつらは単なる真似だから最初のギャル系専門のネットショップには勝てないんだけども、カジュアル系専門のネットショップなり、ナチュラル系専門のネットショップなり、セレブ系専門のネットショップなり、考え方を真似たネットショップがどんどん現れたそうなー。

その中でな、20代のときにギャル系の服を着てたけど30代になって結婚して落ち着いた女性を対象にしたネットショップや、セレブ系のヒョウ柄のドレスだけを専門で集めたネットショップなんかが出てきてな、そんなんお客さんいるんかいなと思うくらいどんどんネットショップが狭くなっていったそうなー。

そんでな、ここまで来て困ったのが、最初の方に出店したネットショップだったそうなー。初めのうちは2番手3番手でも左団扇で経営しとったんだが、1番手がどんどん拡大して安売り在庫たっぷり即配送プロモーション打ちまくり状態になり、後発のネットショップがそれぞれ独自のカラーを出していく中で、何の特徴もなくなってしまったんじゃ。本当は1番手を狙うか、独自のカラーを出さなきゃいけなかったんが、中途半端に売れてたから甘んじてしまったんじゃろなー。オフィスも南青山に構えておったし、スタッフも50名くらいになってたから、身動きが取れんかったようじゃ。

結局、あれから15年が経って、安売り在庫たっぷり即配送プロモーション打ちまくりの1番手と、個性的な独自カラーのネットショップがたっぷり、なんて状態になっておる。この両極端の市場は、まだまだ広がっていくんじゃろうか。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 9.Eコマースこぼれ話

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。