ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

紙(カタログ)通販がネットショップをやるとき気をつけること。【no.0203】

 これまで紙通販をやってきたけれど、販促の費用対効果が合わなくなってきたので、いよいよインターネットに乗り出したいという会社さんって結構あるんですね。もちろん、一度インターネット販売にチャレンジしようとしてネットショップは構築したけど売れてないとか、ネットの広告代理店にお願いしてナンチャラ広告を出してみたけど、反応なかった(もしくはお試しセットは売れたが、本商品にリピートしていない)とか、そういう状態も含め。

 それで、紙通販をやられてきた会社さんと話していて、「なるほど!」と思うのが、紙通販の世界には「更新」という概念がない、ってことなんですよね。「足りない」とか「不足している」ではなくて、「無い」んです。

 だから悪い、という話ではなくて、紙通販の会社さんの戦略として、まずは年間の販促スケジュールを立てる、各販促の中でお客様にどんな提案をするかを決める、というのが最初にありますよね。そして、そのスケジュールに合わせて、新しい商品を企画・開発して、パッケージを決めて、生産個数を決める。と同時に、旧作の商品をピックアップして、在庫を用意しますよね。それを、企業の想いや商品づくりの背景、ちょっと楽しめる文章とともに、カタログやチラシにして、お客様にダイレクトメールで送る。と、こんな感じになっています。そう、ここに「更新」という概念はないんですよね。

 この紙通販の会社さんの戦略の中で重要なのは、新商品の企画もさることながら、どんなカタログやチラシを作るかと、どの媒体に広告を出すかなんですね。新聞広告なのか、雑誌広告なのか、テレビやラジオといったメディアに広告を出すのか。これで、成果が決まってしまうわけです。だから、ほんと、ゲラを入稿するときと広告を選定するときのプレッシャーは計り知れないものがあると思います。新聞広告なんて、1発でウン千万円ですからね。掲載した電話番号とかFAX番号が間違っていたものなら、切腹レベルの話になるでしょう。

 その点、インターネット広告は、ウェブページを表に出してからも好きなときに更新ができるし、全てではないものの、PPC広告などインターネット広告でさえ自由にストップしたり、内容を変えたりすることが可能です。だけども、紙通販を長年展開してきた会社さんは、ネットショップのページを作って、ランディングページを作って、広告代理店をコンペして、どこかにお任せして、新規顧客を獲得して、あとはカタログかチラシ(もしくはメールマガジン)をバーンと送って、リピーターになってもらう、みたいな戦略を考えがちです。なぜなら、紙通販の世界には「更新」という概念がないから。

 紙通販の会社さんが、インターネット販売をスタートする場合、まず必要なのはイーコマースの専任スタッフです。広告に使っている費用の一部を削ってあてても良いですし、紙通販の世界でブランド認知があるならば、ネットショップにも特別なプロモーション無しにアクセスしてもらえる可能性が高いですから、専任をあてるハードルも低いと思います。お客様がインターネットで検索してくれますからね。そして、紙通販の年間の販促スケジュールに合わせて、ネットショップの年間の更新スケジュールを立て、リアルとウェブが必ず連動するようにすること。紙通販の新商品発売やキャンペーンと、ネットショップが連動していない会社さんがまだまだ多くあります。まずは、紙通販の既存の戦略を全体の軸として、商品を買ってもらうのはリアル、お客様に情報を発信し、お客様と常に繋がっているのがネット、というようにまず役割を分けてインターネットを運営していくところからスタートするのが良いと思います。

 おわり。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。