ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

Eコマース事業の人材育成に求めたい要件。【no.0221】

 インターネットビジネスを担当する自社のスタッフとチームにどのような要件を求めれば良いのか、迷われている会社さんが多いと思います。書籍や雑誌、ウェブサイトなどで部分的な要件を検討することができるものの、まだまだインターネットビジネスは体系化されていない分野です。私としては、インターネットビジネスで成果を出せるスタッフとチームとして、いくつかのイメージを持っています。Eコマース事業のスタッフとチームを想定していますが、インターネット事業のスタッフとチーム、もしくはインターネット事業ではない全てのスタッフとチームにも同じ要件が必要なのではないかと思います。

1.昨日のEコマース事業の売上を知っている。いつでも必ず答えることができる。
 まずは、ネットショップの売上を毎日把握しているか、ということです。いわずもがな売上はスタッフ全員の業務が結集した成果です。経理や総務、バックヤードの担当など、一見すると「売上に関わっていない」と思われるようなポジションのスタッフも、日々の売上は必ずチェックしておかなければいけません。つまり、全てのスタッフが「売上に関わっている」という意識が重要です。

2.日にちを指定すれば、その日の売上が“なぜその成果になったか?“を説明することができる。
 簡単ではありませんが、売上という「結果」だけではなく、その「原因」を把握することが大切です。「原因」ははっきり掴めないものもありますが、全スタッフで日々のアプローチを情報共有し、「何が原因でその成果が生まれたか」を考えることができる環境から、まずは整えていくのが良いと思います。

3.自分の仕事が、Eコマース事業におけるどの数字に影響を及ぼしているかを知っている。説明することができる。
 社長は利益、事業部長は売上という数字を持っているように、運営スタッフが「自分の」数字を見られているかが重要です。バイヤー担当であれば、取引先別の売上、新作アイテムのヒット率。ウェブ制作担当であれば、制作ページ数、ページ別の売上。バックヤードのスタッフも、受注処理時間や件数、1発送あたりの物流費、在庫金額、お客様レビュー評価など、日々の業務評価の指標となる数字が設定できるはずです。

4.Eコマース事業の方向性や戦略を、自らの言葉でわかりやすく説明することができる。
 月初や月末の全体ミーティングで、経営者や事業責任者がEコマース事業の方向性と戦略をスタッフに提示していると思います。その内容を、スタッフの方々1人1人が自分の言葉で説明することができるか、ということです。これをしっかり説明できる人財が何人いるかで、成長の度合いが異なってきます。逆に言えば、経営者や事業責任者は、考えをスタッフに共有するだけではなく、スタッフが説明できるようになって、はじめて「伝えた」ことになるというわけです。

5.ミーティングで自主的にアイデアを出す。そして、そのアイデアを確実に実行/実現できる。
 自主的にアイデアを出してもらうことから苦心している会社さんも多いと思います。まずはスタッフからアイデアを引き出すことです。そして次のハードルです。引き出したアイデアを実行に移してもらうことです。ポイントとしては、アイデアを実行に移す際に「成果」を問わないということです。初めのうちは、まず動いてもらうことです。動くことに慣れてから、成果に繋げていく方法を考えていけば良いと思います。

6.今日、自分がどんな仕事をすべきかを知っている。その仕事を行う理由を、明確に説明することができる。
 ここまですることができれば、素晴らしい人財であり、素晴らしいチームになることでしょう。実は、この6.の項目は2.の項目の裏返しです。「どうしてそうなったか、がわかれば、何でそうなるか、がわかる」ということです。2.ができれば、今日どんな仕事をすべきかがわかり、成果からの逆算で明確な説明が可能になるということです。

 以上、Eコマース事業を運営するスタッフとチームに求める要件を挙げてみました。肝心なのは、事業の責任を持つ「1人」の人間が上記を満たすのではなく、チームの複数人、できれば全員が上記を満たすことです。それを徹底することができれば、持続的に成長する組織が生まれると思います。弊社のセミナーでも具体策・具体例を詳しくお話していますので、ぜひ一度ご参加ください。

 おわり。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。