ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップが真似できない、実店舗。「ヴィレッジ・ヴァンガード」のサイトを制作したのは‥? 【no.0031】

■ヴィレッジ・ヴァンガードを知っておろう‥!

 嫁の実家の戸田公園には2ヶ月に1度くらいのペースで遊びに行っている。三井ショッピングパークのララガーデン川口が歩いてすぐだ。そのため、実家にいった際は散歩がてらララガーデンを訪れる。ふら~と歩いて、特にテナントにも入る気があるわけでもないのだが、ただ歩いているのも退屈なので、ユニクロやニトリ、ABCマート、100円ショップ(名前忘れた)、本屋さん(名前忘れた)に入って、なんとなく中をぐるぐる回って、なんとなく出てきてしまう。そんな休日の、つかの間の時間を飽きさせないようなテナントだなぁ、と思うのだが、衣服や家具、靴などは、必要がなければなかなか買わないものだったりもする。まあ、靴はともかくとして、ユニクロ・ニトリあたりだと、さしあたっての必要性がなくてもポロっと買ってしまう魅力があるか。実際、先日もニトリで安い椅子を買ってしまったし。(家にはちゃんとした椅子があるのに) で、うわー、ここ、ふらっとぼーっとぐるぐる回るには良いお店だなぁー、というのが、ヴィレッジ・ヴァンガードである。

 ヴィレッジ・ヴァンガードは言わずと知れた、雑貨屋さんだ。本、CD、DVD、お菓子、バッグ、化粧品、パーティーグッズ、時計、枕、がところせましと並んでいる、というのは雑貨屋さんだから当たり前か。ドン・キホーテのような、安いを売りにしているわけではなく、各コーナーにコンセプトがある。恋愛というコーナーであれば、恋愛にまつわる本・DVD・コスメ・グッズなどが集められていて、それでひとつのコーナーになっている。そして、そのマーチャンダイジングが、普通のお店では見たことがないようなモノ、いや、マニアックな人なら知っているモノなのかもしれないが、マスな層のモノしか知らないような人には目新しく見えるようなモノばかりなのだ。それだけに、ツボをつく商品はお客さんの強いツボをつくのだろう。先日ぐるっと回ったときは、ハイスタ(ハイ・スタンダード)の特集が組まれていて、「俺もハイスタを聞いてた時期があったな」と感慨にふけってしまった。AIR JAM2012とAIR JAM2013のDVDは買わなかったが。

■こういうお店はネットショップでは表現できない‥!

 ヴィレッジヴァンガードを運営する株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーションはジャスダックの上場会社である。ホームページで、決算報告書も出ているのだが、直近はなかなか苦労しているみたい。ヴィレッジヴァンガードを出店先は有名ショッピングモールも多いし、そこにくるマスな層へのアプローチとしては、けっこうチャレンジングな部分があるだろうし。という、ヴィレッジヴァンガードが儲かっているか儲かっていないかという話ではなく、(そんなこと余計なお世話だと思うし)私が感じたのは、あー、こういう店、ネットショップだと表現できないだろうなぁ、ということである。

 ヴィレッジヴァンガードのようなタイプのお店をネットショップで作るのは難しい。まず難しいのは、「どんなお客さんを対象にするのか」を設定しずらいところ。「雑貨好き」というジャンルは世の中にはいるのだろうが、あくまでショップに来店して、そのコンセプトや商品に共感して購入していくものだと思うので、そもそもネットショップ自体が発見されずらい。認知のきっかけ、となると商品での検索から、偶然そのお店の商品に当たって、ということは考えられるのだが、雑貨屋さんは専門店ではない。本にもCDにもバッグにもお菓子にも化粧品にも、それぞれネットショップとしての専門店が存在し、お客さんもたとえ雑貨屋さんに一度は行きついとしても、専門店でも探していく、というのが通常の流れになると思う。となると、ネットショップ自体をブランディングするために、ショップに対して集客(広告を含め)をかけるという方法はあうのだけど、おそらくブランディングが実を結ぶ前に資金が尽きてしまうと思う。方法としては、特定ユーザ層に向けてのネット販売に向いた商品企画をして、最終的にネットショップをブランドにしていく、というのがあるのだけども、もちろんその商品企画が当たるか当たらないかはやってみないとわからない、と言うしかないんだよなー。それか、ネットショップでやるならコンセプト、商材別に専門店化して20店舗のお店として運営するか。

 ヴィレッジヴァンガードは、完全に実店舗に向いたモデルで、あのマーチャンダイジングも実店舗だからこそできる手法なのだと思う。在庫の数も半端ではないし、そこは苦労していると思うんだけども、店舗間で商品在庫を共有したり、他にも手段Xを持っていて、なんとかデッド在庫にならないようにしているのでしょう。在庫の数も、残り方も半端ではないと思うので。もしくは商品の委託販売ができるものをマーチャンダイジングのメインに持ってきているのか。前回のブログでオムニチャネル時代の実店舗の在り方を考えたけど、ヴィレッジヴァンガードから学べるものは多いのかもしれない。
ちなみに、ヴィレッジヴァンガードのネットショップはあります。他で見たことがないような見せ方なので、すごいなーと思っていたら、サイトの制作・管理はチームラボ株式会社だって。異端には異端か。。
 

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。