ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

売るためにアウトソーシングする。仕組み化のためにアウトソーシングする【no.1416】

 ほぼ個人の状態でスタートしたネットショップはノウハウや情報が個人に依存しているのでデータが存在しないことが多々あります。

 商品の仕入れや企画を自分でおこない、商品ページの商品登録も自分でおこない、注文データも物流データも自分で作成しておこない、すべて頭の中でネットショップの運営が済んでしまっているので、マニュアル化・マスター化する必要がないのです。自分の判断だけでネットショップ運営に即対応することができます。

 ノウハウ化、マニュアル化、マスター化、情報化に本格的に取り組まなければいけないのは、自分以外の他人の力を借りるときです。社員を雇用して仕事をお願いしたり、アルバイトさんに仕事をお願いしたり、業務をアウトソーシングする際は仕組み化が欠かせません。特に、常に自分が情報を伝えられるわけではないアウトソーシング化を進める場合は仕組み化が欠かせないでしょう。

 ネットショップの7つの業務の中でアウトソーシングの可能性がもっとも高いのは「物流」の仕事だと思います。お客様の注文データを物流会社に物流データとして送り、梱包と出荷をしてもらうのです。自分にとっては「知っている商品」ですから、自社内では直感的に進められていたものが通用しなくなります。アナログからデジタルへ、ガラリと動きが変わる仕事です。

 物流をアウトソーシングするために必要な情報をまとめていきます。

*商品ID(商品コード、品番)
 本来であれば自社内で商品を管理する際にも最重要な項目ではありますが、個人の延長線上でネットショップをおこなっていると意外にルーズになってしまう部分です。同じ商品でも価格や販売方法が異なったり、製造年度が異なったりすれば違う商品IDを振らないとアウトソーシング先はわかりません。

*梱包材情報、同梱物情報
 ネットショップで取り扱っている商品が1種類であれば、梱包材や同梱物は同じになります。アウトソーシング先でも事前に梱包し、後は配送のラベルを貼って出荷するだけの状態まで準備をしておいてくれますが、ほとんどの場合そうはなりません。どの商品にどの梱包材を使うか、どの同梱物を入れるかをデジタル情報として共有しなくてはいけなくなります。

*納品ボリューム、発送ボリュームの整理
 個人の延長で自宅やオフィスで物流作業をおこなっているときは「みんなで頑張って発送しよう!」とばかりに、納品状況や注文状況に合わせて人員配置を変えることが可能です。物流会社は常に潤沢に人員を用意しているわけではありません。納品ボリュームや発送ボリュームを整理して、効率的に作業が回るようにしていくことが大切です。イレギュラーの連発はコストに跳ね返ってきます。アウトソーシング先も嫌がりますしね。

*イレギュラー作業の共有
 自社内で物流作業をやっているときは「それ今日中に送って」「それだけ発送待ってくれる?」「割れ物注意のシールを貼っておいて」など、イレギュラーの仕事をスタッフに依頼することが可能です。当然、思いついたことは自分なら何でもできるわけですが、アウトソーシングに「それはこれで、あれはあれで」と場当たり的に指示をすることはできません。想定されるイレギュラー作業も事前に共有して見積もりをもらいたいところです。

 基本的に「決めたことを効率的にやってくれる」のが物流のアウトソーシングです。ひとつひとつ考えて判断してもらう仕事を入れることはできません。逆に、アウトソーシングを入れることで自社に足りないものが見えてきたり、データ化や仕組み化の概念を教えてもらうこともできます。自社内での作業にアップアップになってしまっている会社さんはアウトソーシングを検討しても良いかもしれません。「売る」ための時間がなくなってしまっては元も子もありません。

 おわり。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 3.Eコマースの収益アップ

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。