ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

リユースとインターネットが既存の市場環境を変える。【no.1581】

 リユースの市場ってすごいですよね。リユースなんて洒落た言葉を使ってしまいましたが、中古販売のことです。少し前と比べると、金やブランド品の買取の実店舗がたっぷり増えました。もしかしたら買取が進みすぎてもう下火状態ですかね。

*我々とリユース市場の成長の歴史

 リユースの市場って我々の感覚(私は30代後半)だとリサイクルショップか古本屋のイメージですよね。もしくは質屋。子どものころはリユースの市場がこれだけしかなかった。うちの母親が「どんな人が使ったものかわからないものなんて嫌だ」なんて人なので、あまりリユースの実店舗に入ったことすらありませんでした。

 自分の意志で本格的にリユース品を使いはじめたのは中古ゲームショップの登場でしょうか。お小遣いでは新品が買えませんでしたから中古ゲームショップには毎日のように通っていました。クリアしたゲームを売って他のゲームを買うための足しにできるというのも魅力でした。自分には必要でないものを売って資金を得て自分に必要なものを買う、なんてすごく経済学習的じゃないですか。

 あとはブックオフの登場ですね。あれはリユースの市場を一気に変えました。

*インターネットとリユースの市場の成長

 さらにリユースの市場の成長を加速させたのはYahoo!オークション(現ヤフオク!)の登場です。2000年くらいまでは一部のインターネットユーザーがレア物購入のために楽しむものでしたが、一気にEコマースの発展と合わせて一気に市場が伸びていきます。ヤフオク!がインターネットCtoC(コンシュマーtoコンシュマー)のリユース市場をほぼほぼ独占するような状態が10年以上続いて、2015年頃からスマートフォン主流の流れの中でメルカリが一気に躍進するわけですが、プラットフォームに頼らない「リユースのネットショップ」も続々と登場しています。

 まあ日本もデフレ化が進んでいますからリユースの市場が成長している理由として「新品よりも安いから」というのは当然理由としてあります。人間の持つ物欲というものを抑えきるのはなかなか難しいですから「安く買って、高く売って、また安く買う」というようなリユースの消費のサイクルは日本経済の現状に合っているのかもしれませんね。

 リユースの市場、特にCtoCの市場を盛り上げているのがユーザーである国民の経済感覚であるとは思うのですが、リユースはBtoCで商品を販売する企業にとってもメリットがあります。

*リユースの市場に取り組むことのメリット

 リユースの面白さは「販売」だけではなく「買取」にあります。リユース品を販売するためにユーザーから商品を買い取る側が「買取価格」を決めることができるんですね。その後、買い取った商品を販売することを考えれば「買取価格=仕入れ価格」ということになります。たとえば小売りの商売をおこなう場合、仕入れ価格は仕入れ先が設定している金額がベースになりますが、買い取りについては買い取り側が設定している金額がベースです。「仕入れ価格」を決められるメリットがひとつ。

 もうひとつは「販売価格」を自分たちで決められること。これによりリユースの商売というのは「買取価格」と「販売価格」を自分たちで決めることができ、確実に利益を残すことができるんですね。これが新品の家電を販売する場合だと、仕入れ価格はメーカーが決めていて販売価格は市場価格があるのでほとんど利益が残らない商売になってしまってます。たぶん家電の販売だと、リサイクルショップの方が新品販売の家電量販店よりも利益率が良い・・そんなオチです。

 家電の大企業を中心として昨今の日本メーカーの凋落が激しいですが、我々が消費をリユースに求めるようになったことも理由の大きなひとつなのでしょうね。ただ、今後さらに加速してしまうと思いますが。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 7.Eコマースのひと工夫

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。