ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

リアルとネット、BtoBとBtoC、デジタルマーケティングの可能性【no.1660】

 デジタルマーケティングの領域において、今後の成長の可能性があるのはどこになるのかを考えてみたいと思います。リアルとネット、BtoBとBtoCという切り口で「リアル×BtoC」「ネット×BtoC」「リアル×BtoB」「ネット×BtoB」という4つの切り口から考えていきます。

*「ネット×BtoC」のデジタルマーケティングの可能性

 最初に少し残念なことを書きます。「リアル×BtoC」「ネット×BtoC」「リアル×BtoB」「ネット×BtoB」という4つのデジタルマーケティング領域を考えた場合、もっとも成長の可能性が薄そうなのが「ネット×BtoC」です。ECMJ自身がEコマースのコンサルティングをメインにしておきながら、これを言うのは少し憚られるとことがあります。

 なぜもっとも厳しいか。それは「ネット×BtoC」は完全に海外の会社を相手にしなければいけないからです。いわゆるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を並べたもの)が「ネット×BtoC」の市場を席捲しています。インターネットのインフラという部分では日本の会社は太刀打ちできそうにありません。文化や法律、規制の違いです。

 ただ市場は「需要と供給」によって成り立っています。すべての需要がAmazonで足りるようになることはないですし、供給側(つまり競合ネットショップ)が減ればその分成長の可能性は拡大します。中小企業のEコマースにおいては大枠の市場を気にするのではなく、付加価値と差別性を考え狭く深い市場を取ることが肝心です。ECMJはAmazonに対抗するコンサルティングはできませんが、中小企業が「キラリと光る」ためのサポートは得意です。そこに価値があると思っています。

*「リアル×BtoC」のデジタルマーケティングの可能性

 ネットと比較するとまだまだデジタルマーケティングの成長の可能性が高いのが「リアル×BtoC」です。ネットはGAFAが席捲していると書きましたが、「リアル×BtoC」を考えたときどれくらい外資の会社が国内の市場に侵食しているでしょうか。実は、あまり侵食していないんですよね。コンビニもデパートもアパレルも飲食も95%以上が国内の会社です。ネットは海外との戦いになるのに対して、リアルは国内の戦いなんですよね。

 そういう視点で考えるとデジタルマーケティングについても国内企業の方が導入・進捗に慎重ですから、活用をすることで頭一つ飛びぬけられる可能性があります。少し話題性が落ち着きましたが「オムニチャネル」の考え方はリアルのデジタルマーケティング化の際たるものです。リアルの世界での「顧客データ」「行動履歴データ」を取得することによってリアルのマーケティングがデジタル化していきます。

 問題はリアルのビジネスを動かしてきた事業者の皆さんが、デジタルマーケティングにどこまでの理解と興味があるか、というところになります。

*「ネット×BtoB」と「リアル×BtoB」は統合されていく

 「BtoB」の市場については「ネット×BtoB」と「リアル×BtoB」は統合されていきます。BtoBビジネスはネット上だけで購買行動のすべてが完了することが少ないですから、「ネット×BtoB」でも少なからずリアルを挟まなければいけない状態になります。現状だと「ネット×BtoB」よりも「リアル×BtoB」を軸にしている会社が多いので、「リアル×BtoB」が「リアル×ネット×BtoB化」していくことが大切になります。

 BtoBビジネスの市場については国内企業と外資企業の国内市場規模は半々というところでしょうか。「ネット×BtoC」に比べれば国内企業も負けていません。アメリカの調査会社「ガートナー」の指標では「BtoB顧客の購買行動の85%がオンラインで決まるようになる」という予測が出ています。これまで「リアル×BtoB」を軸として動いてきた会社こそ「リアル×ネット×BtoB化」することが大切なのではないでしょうか。まだまだ可能性はあります。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。