著者:石田 麻琴

企業の入社試験課題をプロなりに回答してみる。その3【no.1720】

(前回のコラムのつづきです)

 『A社(自社のこと)のEコマースの売上を予測し、2年後に売上を3倍にするためにはどうすればいいかを考えて提案してください』を回答してみる、の3回目。

*Eコマースは商品だけではなく「ショップの比較も容易」

 前回のコラムで書いたとおり、Eコマースは特定の価格帯に受注が集中しやすい。それはEコマースというビジネスの特徴が影響している。たとえば皆さんがスーパー(ネットスーパーではない)でお買い物をするときのように、「これもあれもこのお店で買ってしまおう」というのが、Eコマースにはあまりない。自分自身のネットショッピングを考えるとわかりやすいのだが、「これはこのショップで、あれはあのショップで」というような購買行動をとっているのではないだろうか。

 Eコマースの特徴は「商品の比較が容易」なことだけではなく「ショップの比較も容易」なところにある。なので、お客様が「この店はこれ」と思っている売れ筋商品の価格帯に受注が集中しやすくなるのだ。Eコマースというビジネスにおいて「売れ筋商品=導線商品」になりやすいのもそのため。お客様は「その商品を買う」ためにECサイトにやってくるわけだ。

*1回の平均購入数が少ないのもそのため

 お客様が1度の買い物で購入する購入点数が少なくなるのも同様の理由である。スーパーに買い物にいったときのように15点~20点の商品を買い物カゴに追加してレジに向かうということはまずない。リアルの実店舗では普通におこなわれていることが、ネットの世界では全くあり得ないことなのだ。Eコマースの世界ではほとんどのお客様が1点~3点だけを買い物カゴに入れてレジの前に並んでいるような状態になる。

 もしもこれが実店舗と同じように物理的な「レジ待ち」があったらかなりキツイものがある。むちゃくちゃレジの前に人が並ぶだろう。逆に、スーパーで15点~20点を買い物カゴに入れ、レジに並び、前の方が15点~20点のレジ打ちと支払いをするのを待ち、自分もレジを打ってもらう・・これがネットの世界のようにデジタルで瞬時に1つ1つ商品も確認されず決済が済んでしまったらめちゃくちゃ楽である。この世界が「Amazon GO」ということですね。

*最後に「1.3」を掛ける意味

 「売れ筋商品の価格帯×1回の平均購入数」を掛ければ概ねの客単価を想定することができるが、ここでは公式で最後に「1.3」を掛けることになっている。これはかなりの経験則が混じっているのだが、「1.3」は「2.0」にはあまりならない、と思う。

 Eコマースの客単価は売れ筋商品の価格帯に引っ張られやすいことはここまで書いてきた、売れ筋商品の価格帯が1万円であれば、1万円に1回の平均購入数を掛けたものが客単価に近くなる。ただ、すべてのお客様が売れ筋商品を購入するわけではなく、中にはヘビーユーザーの方やロイヤルカスタマーの方がいる。お得意様はときに3万円や5万円の高額帯商品も購入していく。これが「1.3」の意味になる。受注数としては売れ筋商品ラインよりも圧倒的に少なくなるので、この数字は「2.0」にはならない。

*実際にこの方法でA社のEコマース売上を計算すると

 実際にここまで紹介してきた方法でA社のEコマースの売上を計算してみた・・のだが、なんと年商で1兆円という予測になってしまった。「客単価」はともかくとして「受注件数」の計算が異常値になるのだ。おそらく受注番号がA社のカート以外でも振られているためだと思うのだが、間髪おかずに連続で購入しても通し番号がけっこう進んでいる。さすがにこのペースで売れることはないだろう。受注件数の秘策が通用しないとなると、どうするか・・(次回)