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DX化投資の7割が「無駄打ち」に終わってしまう理由【no.1796】

 DX化投資の7割が「無駄打ち」に終わってしまう理由。(2019年12月のリライトです)

 デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)。つまり「企業のデジタル化」について興味深い話をBPIAで伺った。メモの意味もこめてECMJコラムで書きたいと思います。
 
 ちなみにBPIAはビジネスプラットフォーム革新協議会の略称です。弊社ECマーケティング人財育成も加盟をさせてもらっているIT業界の団体。ECMJの石田はBPIAの常務理事を務めさせてもらっています。

*2018年のDX化予算は1.3億ドル

 ハーバードビジネスレビューによれば2018年の米国(アメリカ)企業のDX予算合計は1.3億ドルだった。その1.3億ドルのうち、DXが成果に繋がらず、無駄打ちに終わってしまった予算は9,000億ドルだった。ということだ。

 まず、このDX化の予算合計1.3億ドルという数字が高いのか低いのか。絶対値として莫大な金額でも実際どうなのかは前年までのデータがないのでわからない。そして「無駄打ち」と言っても、定義や見切りのタイミングがどこにあったのかは不明。長期的に考えれば「無駄打ち」でもひとつの肥やしになったとも言えなくもない。

 ただ、1.3億ドルに対しての9,000億ドルは約70%。「約7割の投資が失敗に終わっている」という現実を認識することが重要になる。

*米国が取り組む「ハリウッド方式」

 米国の企業が新しいテーマに取り組む際、しばしば取り入れるのが「ハリウッド方式」という方法。企業のDXにおいても、「ハリウッド方式」が取り入れられることが多かったようだ。

 「ハリウッド方式」とはこうだ。DXに取り組む際、ノウハウを持っている人材を社外から登用し陣頭指揮をとってもらう。DXが次のフェイズに移ったとき、また新しいノウハウを持っている人材をアサインして陣頭指揮をとってもらう。各フェイズにスペシャリストを登用するイメージだろうか。

 ただ、ことDXに関してはこの「ハリウッド方式」は折り合いが悪い。どうしても既存事業の組織とバッティングしてしまうからだ。DX化がビジネスにおける「いち部分」ではなく企業組織の「全体」に関わる所以だと思う。これが「約7割の失敗」に繋がっているようだ。

*日本の場合、DXスペシャリスト自体が少ない

 日本の場合、企業がDXに取り組もうにも知見や経験をもったスペシャリストが少ない。カンファレンスイベントの講演者の顔ぶれを見ればその少なさがわかると思う。デジタル理解が深い「CMO」的な人材が少なく、半ば引っ張り合いになっている。当然、中堅・中小企業にはこの手の「CMO」人材は回ってこない。

 企業の経営者がDX関連の情報を聞きつける。ただ自分自身は(シニアの経営者の方が多いので)デジタルのことはよくわからない。マネジメントメンバーに「ウチのDXはどうなっている!?」となる。マネジメントメンバーや現場メンバーはどうすればいいかわからない。とりあえずトレンドのツールを導入すれば何とかなるかも、という流れになる。米国とは事情は異なるが、これによる「無駄打ち」予算は多いのではないだろうか。

 問題はDXの「目的」を整理できていないことにある。システムやツールはあくまで「手段」でしかない。成功へのポイントは企業の内部の「取り組み方」にあるわけだ。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。