ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

リモートが向く仕事、向かない仕事。向く人、向かない人【no.1822】

 すでにリモートでの業務を進めている会社さんや、これからリモートでの業務を進めていこうという会社さん、それぞれがいるタイミングかと思います。前者の3月中からリモートでの業務を進めてきた会社さんの社内では「リモートによるギクシャク」も出てきているのではないでしょうか。

*明確な業務が決まっていればリモートは向く

 リモートの業務には向き、不向きがあり、明確な業務が決まっていればリモートが向くのでしょう。たとえば、お客様に提案する資料をつくるとか、テーマに沿って論文を書くとか、インターネットを使ってマーケティングリサーチをおこなうとか、そういった仕事であれば業務イコール成果になるのでリモートの仕事が向いていると思います。

 あまり向かないのはアイデアをつくる方の仕事で、これは成果のポイントが明確になりにくく、また成果に至るまでの工程が一緒に仕事をしている他者に見えないので、「どうしても目に見えない同僚に疑いを持ってしまう」というネガティブな方向に振れやすいんですね。この数週間でここに気づいた方も多いのではないかと思います。

 毎日同じ時間に同じ場所に出社して、ある程度お互いがお互いの存在と仕事を確認しながら進めてきたことが意外と安心感につながっていたのだなと。

*リモートが向く会議、リモートが向かない会議

 個人業務、チーム業務というところだけではなく、会議にもリモートが向く会議と向かない会議が見えてきたのではないでしょうか。

 リモートが向く会議として、ひとつは個人対個人(1対1)の会議。明確に話を伝える人が決まっていて、それをお互いが理解している会議はリモートに向きます。というか、リモートでもおこなうことが可能です。もうひとつは一方的に伝えるための会議。経営者や上司からの情報共有や、各人の進捗方向のみの会議はこちらもリモートでおこなうことが可能です。

 逆に向かないのはアイデアを出したり、意見を出したりして方針や方向性を決めるための会議。これはリモートには向きません。同じ場所に集まって自然におこなっていた、場の雰囲気の読みだったり、メンバーの細かい表情の変化だったり、言葉を発するタイミングだったりがリモート上の会議ではわかりづらいからです。

 また、オフィスで仕事をしているときのように、隣の同僚に「これってどう思う?」といったちょっとした話ができないことが、「最初は小さな」イノベーションに繋がらない原因になります。やはり何か新しい方向にブレイクスルーするためには、人間同士のコミュニケーションが大切であることに気づくはずです。

*リモートをおこなうために大切になる「価値観」

 最後に、リモートをおこなうにあたって大切になるのが社員、従業員、スタッフ、メンバー、アルバイトさんといった関係者の皆さんの「価値観」をいかに同じレベルに保つかではないかと思います。同じ時間を同じ空間で共有しているときには自然にシェアしていた「価値観」が、時間と空間が異なると徐々にその濃度が人によってバラバラになってしまいます。

 「価値観」がズレてくると仕事の進め方や成果、そして人間関係にズレが生じチームが壊れてしまいます。リモートを中心にするとは言えど、定期的に集まる場をつくって「価値観」を共有しなくてはいけません。

 同じように、リモートで重要になるのが「自律性」です。自分で自分を管理する、自己管理が苦手な人はリモートにはあまり向きません。会社の方で「自律性」を高めるためのコントロールをする仕組みを整えられると良いと思います。とはいえ、大人になった人間に改めて「自律性」を説き、習慣づけるのも大変ですから、現実には「ストレスにならない程度のお尻叩き」の方法がポイントになるのかもしれませんね。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。