著者:石田 麻琴

デジタルマーケティング担当者の「採用と育成」と「外部委託」前編【no.1848】

 先日、インプレスさんが運営するメディア・ネットショップ担当者フォーラムのオンラインセミナーに登壇させていただきました。

 視聴者の皆さんからお申込みの際に事前の質問をいただいたのですが、その中で多かったのがデジタルマーケティングの担当者を「新規採用」するのが良いのか、それとも「社内育成」するのが良いのか、また、内部でおこなう仕事と外部に業務委託する仕事のバランスはどう考えれば良いのか、といった組織編制に関する質問でした。

 今回のECMJコラムはデジタルマーケティング担当者の「採用と育成」そして「内部と外部」について。

 アフターコロナ/ウィズコロナの時代となり、インターネットを中心としたデジタルマーケティングの活用に迫られている会社さんも多くいらっしゃると思いますし、デジタルマーケティングを展開していく上で「誰にその担当を任せるか」というのが喫緊の課題になっていると思います。

 どちらかといえば手っ取り早いように思えるのはデジタルマーケティングの知識を持っている経験者を新規採用することで、現状の社内のメンバーをデジタルマーケティングが回せるように育成していくのは「時間がかかる」もしくは「ウチのメンバーにできるかなぁ~」という会社さんが多いと思うんですね。

 ただまず前提条件を考えると、デジタルマーケティングを展開できる人材がそもそも採用の市場にどれだけいるかといえば、そこまで多くはありません。デジタルマーケティングが本格的に登場してたかだか15年程度ですし、どの会社にもデジタルマーケティングの部署があるわけではないですから、「デジタルマーケティング担当者」というそもそものパイが少ないわけです。

 また「デジタルマーケティング担当者」とひと言でいっても、保有している知識の偏りが人によって異なります。インターネットの広告代理店出身の人間ならばデジタルマーケティング施策は広告に偏るでしょうし、WEB制作会社出身の人間ならばWEBサイトの更新やリニューアルに施策が偏ります。バックグラウンドになっているデジタルマーケティングのカテゴリに知識が偏り、それが実際のアプローチにも強く影響してしまうのです。

 当然、企業の「デジタルマーケティング担当者」としては企業全体のマーケティング戦略を理解した上で、デジタルマーケティングがいかに全体の戦略を補完・加速できるかを考え、広告や制作に限らず、あらゆる選択肢を取捨選択して決断をしていくことが求められるわけですが、多少の「デジタルマーケターとしての“色”」がついてしまうと、それがある種のリスクにもなりかねません。

 採用市場にデジタルマーケティングを展開できる人材のそもそものパイが多くはない、そしてバランスよくデジタルマーケティングの選択と判断ができる人材というとさらにパイが狭まる、こういった市場の状況の他に、「採用」が難しい理由が他にもあります。そういった「需要>供給」である人材が「自社に入社してくれるのか」ということです。

 採用市場においてデジタルマーケティングの担当者候補となる経験者は「25歳~40歳」あたりの人間になると思うのですが、はたしてこの「これから働き盛りに入る」人たちが「自社に入社してくれるのか」ここがポイントです。残念ながら自分自身の今後のキャリアを考えた場合、よりインプットが多いと思われる上位のマーケティングソリューション企業や(SOもある)スタートアップに転職してしまうのが現実です。

 本来は事業会社に勤め、デジタルマーケティングの実践を積むことこそ本当のキャリアになるのですが、どうしても自分自身へのインプットよりもアウトプットの方が多い転職だと思われてしまうのです。

(後編につづく)