著者:石田 麻琴

マーケティングは「いままで」の整理から始める。後【no.1880】

 前回のECMJコラムのつづきです。まだ読まれていない方は前回のコラムもぜひ読まれてみてください。

 マーケティングは「いままで」の整理から始める。前回はデータをみることについて解説をしました。データをみるときのポイントは「変化」を見ることです。直近の3年間、36ヵ月分のデータを並べてみて、データの「流れ」を見てみましょうという話を書きました。マーケティングのスタートはまずここから始まります。

 データの「変化」を見ていると、様々な疑問がわいてくるはずです。前回のコラムでも書いた、「なんでこの月は突発的に売上が伸びているのか」「なぜこの月とこの月は売上は変わらないのにお客様数が全然違うのか」「お客様数が少ないのに客単価が高い月があるのはなぜか」などです。売上・お客様数・客単価という、たった3つの数値項目だけでも疑問がわいてきます。もちろん、「なぜ?」の疑問をもってデータを見なければいけません。データに慣れないうちはこの「疑問をもつ」こと自体が大変ではありますが。

 まずは疑問を集めます。次に「疑問の理由」を探す仕事をおこないます。データは意味もなく動くものではありません。売上があがった、お客様数が増えた、客単価が伸びている・・それが自分たちがおこなった施策が影響しているかは別として、データの「変化」には必ず何かしらの「理由」があります。データの「変化」から「疑問」を探し、「疑問」の「理由」を探す。この仕事をおこなうわけです。これがマーケティングを始めるときの、「いままで」の整理の作法になります。

 このデータが「変化」した「理由」には2種類があります。ひとつは、自分たちがおこなった改善施策がデータに影響しているという「理由」のケース。これを「内的要因」と呼びます。もうひとつが、自分たちがおこなったことではないけれども、何かしらの市場環境の変化がデータに影響しているという「理由」のケース。これを「外的要因」と呼びます。過去36ヵ月のデータの「変化」そして疑問点についても、その理由が「内的要因」であることもあるし、「外的要因」であることもあります。大切なのはデータの原因が「内的要因」なのか「外的要因」がなのかを、マーケティングチームメンバーがしっかり理解しておくことです。

 これらの要因を理解するにあたって、会議の場で意見を交わすだけではチームの共通認識にはなりません。データの「変化」についての「内的要因」「外的要因」を議事録に残し、「売上が上がっているときに何が起こったか」「お客様数が下がった原因はなにか」を明文化しておくことです。そして、この「要因の整理」こそ次の自分たちの改善施策につながってくるわけです。シンプルに言うならば、これまでおこなった改善施策でデータに効いている(数字を伸ばしている)ものは今後のアプローチとしても有効である可能性が高いく、データに効いた外的要因は今後再びおこったときに、再度データに影響をおよぼす可能性が高いわけです。

 前回と今回、2回のコラムを使って「マーケティングは『いままで』の整理から始める」を解説してきました。ただやみくもに新しい施策ばかりにチャレンジするわけではなく、成功の秘訣は「いままで」自分たちがおこなってきたことに隠れています。まずは主要な数値項目のデータを過去36ヵ月分用意する。データの「変化」を見て、データの疑問点に気づく。疑問点の理由を探し出し「内的要因」と「外的要因」に分け、そこから今後の施策と対策を考える。これらをおこなうことが「いままでの整理」です。中小の会社さんは、まずはここからマーケティングをスタートさせていってください。